Read Article

広告

アスペルガー症候群が原因で離婚。きっかけは妊娠と出産

広告

 

アスペルガー症候群の疑いがあるパートナーと離婚するに至った体験記事です

…………

 私には離婚歴があります。その原因は「カサンドラ症候群」。夫がアスペルガー症候群であることに気づけなかった結果、彼の言動に振り回され続けた私。気がつけば精神的に疲れ果てていました。

 あまり馴染みのないカサンドラ症候群。アスペルガー(疑い)の方が身近にいる人には是非とも知っていてほしいと思います。私のように不幸な結末を迎えないためにも、アスペルガー症候群とカサンドラ症候群についての体験を聞いていただけたら幸いです。

カサンドラ症候群とは?

 カサンドラ症候群という言葉を耳にされたことのある方はあまり多くはないかもしれません。実際、私も医師に指摘されるまでは全く知りませんでした。カサンドラ症候群とは、アスペルガー症候群を抱えるパートナーと信頼感のある結びつきが形成できないことを原因として、精神的に追い詰められた妻や夫が精神疾患を発症してしまうことを言います。

 多くの場合、アスペルガー症候群では知能的な遅れはありませんから、社会生活上では明らかに問題になるような言動が見られることはありません。ですから、アスペルガー症候群の人と深い関係を結んでいない人(つまり、周りから見ている人)には「理性的な人」「合理的な人」といった受け止められ方をされることも多いのです。

 しかし、愛情といった情緒的な関係まで踏み込んだ間柄である配偶者にとってはそうではありません。精神的なコミュニケーションがうまくいかないことを周囲に相談しても、なかなか理解をしてもらうことが出来ないのです。すると「(アスペルガーである)夫(妻)を理解できない自分が悪いのか」という風に、徐々に自分に対して自信がなくなってきます。そしてやがて精神的に追い込まれ疲れ果ててしまうのです。

どうしてカサンドラ症候群になってしまうのか? 

 私はやはり夫との関係が上手くいかなくなり、最終的に離婚という結末を迎えました。それはおそらく、彼がアスペルガー症候群であるとの確定診断がなかったこと(今となっては確かめようがありませんが、明らかにその兆候がありました)、妻であった私がアスペルガー症候群に対する知識が不足していたことが原因であるのだと考えています。

 当時の私が「夫はアスペルガー症候群(的な要素を持っている)なのだ」と知っており、そのような人に対する関わり方を知っていたら、もしかしたら私たちはまだ夫婦という関係を保つことが出来たのかもしれません。

仕事ができて、理性的・合理的な夫

 私たちが恋人同士だったころや、夫婦二人だけの生活を送っていた時代、二人の関係は良好そのものでした。夫は理性的で合理的な考え方をするタイプの人で、あまり感情的な面を見せることはありませんでした。ですから、二人の間で何か問題が発生してもスムーズに解決することが出来たのです。それは私もどちらかというと冷静で合理的な性格だったせいもあるためでしょう。

きっかけは妊娠・出産

 そんな良好な関係に違和感を覚えるようになったのは、私の妊娠が分かってからでした。私はとにかく悪阻(つわり)がひどく、妊娠初期はほとんど布団から出られない日々を送っていました。特にニオイに対して非常に敏感になり、嘔吐を繰り返す日々。おまけに、ホルモン変化によって情緒的にも非常に不安定になっていました。

 当時の私は派遣社員として働いていましたが、当然仕事などできる状態ではありません。結果、退職の運びとなりました。仕事がなくなったからといって、家事ができるかと言えば決してそうではないのです。そんな私に代わって、夫が家事も担当してくれることになりました。

 そんな時の夫の発言に、私はだんだん違和感を覚えるようになりました。

「俺の職場にも妊婦さんがいるけれど、みんな仕事をしているよ。責任感の問題では?」

「つわりがあることもわかっていて子供を作ったのでしょう?」

「男は生物学的に妊娠できないよ。」

「他にすることがないから吐き気に意識が行くんだよ。」

「みんな体験しているよ。」

「人に頼る前に自分でできる対策をするのが当たり前。」

「○○(私)の話を聞いても、俺がどう行動すればいいのか伝わらないよ。」

「○○(私)の代わりに家事はやっているのに、何が問題なの?」

「男は自分の子供であることを確実に証明できないからね。」

「健診について行っても他の妊婦さんの邪魔になるだけ。」

「そんなにつらいのならどうして中絶しないの?今までのような生活が送れるようになるよ。」

 産後に授乳で十分に睡眠をとれない私に対しても、
「1時間×10回で合計10時間も寝ている。睡眠時間は十分とれているよ。」

 熱を出して苦しそうにぐずる息子に対して「苦しいね。風邪引かせちゃってごめんね。」と添い寝しながら息子の頭をなでたり手を繋いだりする私に対して、「薬も飲んでいるし、あとは何もできることはないじゃない。言葉をかけたり手を握ったりするから熱が下がるわけでもないのに○○(私)って不思議だね。」

 これらは妊娠中や産後に言われた言葉です。子供が小学生になった今でも忘れることが出来ません。とはいっても、夫が妊娠に対して否定的だったのではありません。妊娠が分かったときは一緒に喜んでくれましたし、エコー写真もうれしそうに眺めていました。育児用品などの情報収集に対しても私以上に積極的。出産時も付き添ってくれましたし、元気に生まれてきてくれた息子に対して感動して涙を流してすらいたのです。

 ただ、当時の私が欲しかったのは「共感」でした。
つわりで辛い。
食べたいのに食べられない。
仕事も家事もできなくて申し訳ない。
元気に産んであげられるか不安。
陣痛ってどれだけ痛いの?
育児がしんどい。

 そんな「弱音」や「愚痴」に対して「つらい気持ちを分かってほしい」。ただそれだけでした。具体的な解決策が欲しかったのではないのです。彼の言動は、妊娠前とは何一つ変わっていません。私の辛さを解決するための客観的な「指摘」や「提案」です。変わったのは私でした。妊娠・出産という大きな環境変化によって、私は以前の冷静で合理的な自分ではなくなってしまったのでした。それゆえ、「共感」するのが苦手なアスペルガー症候群の夫に対して違和感を感じてしまったのです。

 今までは「合理(夫)」対「合理(私)」で釣り合ってた天秤が「合理(夫)」対「共感(私)」に変わったせいで、バランスが取れなくなっていきました。子供に共感する必要性から私の方が変わってしまったです。子供がいない状態でしたら、離婚することはなかったでしょう。皮肉な運命というのでしょうか。

まるで機械のように見えた

 夫の言動は、これまで通り「正論」「理性的」「合理的」なものです。全てに筋が通っているため、私は彼に対して何も言い返すことが出来なくなりました。
「周りもわかってくれないのだから、彼が正しいのだろう。」

「行動で結果を示してくれている彼に対して愚痴を言うのは贅沢なことなんだ。」

「できない自分がいけないのだ。」

「でも辛いんだよ。」

「どうしてわかってもらえないんだろう?」

「どこにも私の味方になってくれる人がいない。」

「愛情って何だろう?」

 育児疲れも相まって、私の精神はどんどん追い込まれていきます。当時の夫は、私には機械のように映っていました。言葉にならない恐怖感や絶望感が常に私を包んでいました。そして「これ以上この人といるのは無理だ」という結論、つまり離婚するに至ったのです。

もし当時の私が関わり方を知っていたら…

 本当に彼がアスペルガー症候群だったのかは、今となっては知るすべはありません。ですが、私がアスペルガーを抱える人の特徴や関わり方を知っていたなら、私はあれほど追い込まれることはなかったのだろうと確信しています。当時の私は彼を「フツーの人」として扱っていたのです。アスペルガー症候群の特徴として「空気が読めない」と言われていますが、「空気感」は合理的に考えても分からないのです。

 例えば「俺の職場にも妊婦さんがいるけれど、みんな仕事をしているよ。責任感の問題では?」という言動。妊婦さんも仕事をしていることは事実ですが、そんなことは分かっています。でも、夫は「仕事も家事もできなくて申し訳ない。」という私の気持ちに共感することができなかったのです。「空気感」は通常は親から、そして友達関係から学ぶものですが、先天的な障害であるアスペルガー症候群の場合には訓練(療育)していくしかないのが現状です。小さい頃からそういう療育を受けていないとすると「空気感」を身に着けることは難しいことかもしれません。

 もし、今パートナーとのコミュニケーションに悩んでいる人がいましたら「アスペルガー症候群とカサンドラ症候群」についての情報を持ってほしいと思います。原因が分かれば対処法や改善策も見えてきますので、離婚まで至らないで済むかもしれません。私の体験が、カサンドラ症候群かもしれない人たちのヒントになれば幸いです。

[参考記事]
「発達障害の一つアスペルガー症候群とは」

URL :
TRACKBACK URL :

Leave a comment

*
*
* (公開されません)

Return Top