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発達障害児が受けられる支援の種類とその問題点について

 

この記事は30代の女性に書いていただきました。

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 発達障害児が抱える課題は、一人一人全く異なります。自閉スペクトラムに注意欠陥障害、多動性障害、言語障害、学習障害など、様々な障害が組み合わさって発症している例も少なくありませんし、その程度によっても必要な支援を一緒くたにすることはできないでしょう。

 それでは、その多様な障害に対し、行政や民間のサービスは対応しきれているのかというと、「NO」であると言わざるを得ない状況にあると思います。実際に、学習障害も言語障害も発覚していない中学一年生になる娘は、自閉症特有の障害により、安心して受けることができる福祉サービスの選択肢が極端に少なく、養育者の負担は日に日に大きくなっていると感じています。

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【発達障害児が受けられる支援の種類】

 発達に遅延が見られる、または極度に発達のバランスが悪い様子が見受けられると、各自治体で行われている乳幼児健康診査にて指摘を受け、相談支援の利用を推奨されます。保健師や保育士等から発達障害の指摘を受けずとも、養育者本人が「心配なところがあるな…」と思えば、保健所や児童相談所に問い合わせをすることで、相談支援の必要性を判断してもらうことができます。相談支援では、幼児本人の様子や養育者のヒアリングにより、適切と思われる福祉サービスを案内してもらえます。

 それでは、発達障害児が受けられるサービスの種類にはどのようなものがあるのでしょうか。
・通所サービス
 集団生活への適応訓練を受けることができる通園施設になります。発達支援事業所がこれに該当します。対象は小学校に上がっていない6歳までの子供。例えばハビーさんみたいな民間の事業者です。

ハビーは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県にある幼児教室です。
児童福祉法に基づく児童発達支援事業として、発達障害のあるお子さま(乳幼児・幼児・児童)や、発達の遅れが気になるお子さまに対して、ひとりひとりの特性にあった指導方法、専門的な学習、コミュニケーション指導を行っています。

幼児教育、幼児学習、未就学児指導のプロとして、親御様の立場に立ち、親御様と共に考え、親御様と共にお子さまの成長、発達をサポートしていきます。

・デイサービス
 就学以降の児童が放課後や休暇中に利用できる通所施設です。放課後の居場所づくりが目的になります。事業所によって内容が大きく異なり、個別応対をしてくれる事業所もあります。

・訪問支援
 保育所等へ支援員が派遣され、集団生活適応の為の専門的な補助を受けることができます。

・療育機関
 児童への適応訓練など直接支援のほか、各医療機関や教育機関と連携した包括的な支援を受けることができます。地域療育センターがこれに該当します。例えば埼玉県であれば9箇所が設置されています。

 発達障害の特性が気になる子供に作業療法士等の専門職が個別療育を提供する地域療育センターを県内9か所に設置しています。

 作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、臨床心理士、臨床発達心理士などの専門職が、アセスメントにより子供の特性を把握し、その子に合った個別療育を提供することによって子供の発達を促します。(専門職の配置はセンターによって異なります。)

【発達障害の支援を受けるのが難しい子】

 知能障害はないが自閉傾向の強い高機能自閉症児や、言語障害が見られないアスペルガー症候群を持つ発達障害児の中には、「複数人が同時に音を発する環境が苦手」という子も多いと思うのですが、この場合、定められた場所に集合して目的の作業をこなすということ自体が苦痛になってしまうことがあります。

 また、自身の抱えている問題をうまく言語化することができずに、”喋りすぎて”しまったり、”喋らなすぎて”しまったりなどして、人間関係のトラブルを招くケースも多いのではないでしょうか。

 療育や通所自体がその子にとって苦痛となってしまっては、支援の意味がありません。事実、同様に感情の言語化が苦手で集団に属することに困難を抱えている娘は、中学校進学時に支援センターに「安心して過ごせる場所がないだろうか」と相談した際、「適した支援を受けることが難しい」と告げられてしまいました。それにより娘は大きな問題を抱えることになったのです。

 現在娘は普通級に進学するも通常の学習や部活動などに馴染むことができず、居場所のない日々を過ごしています。完全な不登校児ではない為、不登校児支援も受けることができず、家庭と学校の連携や教育支援は、母親である私一人が行っています。この負担を抱えながらの就労や兄弟の育児はとても難しく、身体的・精神的にまいってしまうこともよくあります。事業所や民間療育教室の少ない地方では、この問題が更に顕著になっているのではないでしょうか。

【発達障害児に適している支援とは】

 まず集団に馴染むことのできない娘には、個別支援が不可欠でした。その為、小学校で受けていた、普通級に在籍しながらソーシャルスキルトレーニングなどの療育が受けられる「通級支援」は、彼女にとって大きな支えとなり、居場所となっていました。通級では一対一で適応訓練が行われ、また、彼女の「得意」を披露しても受け入れられる場所として、様々な環境で低くなりがちであった自己肯定感の底上げにも繋がりました。

 しかしこれは、”たまたま”通級支援が所属の小学校内で行われていた為に容易に受けることができた支援でした。残念ながら今現在在籍する中学校に通級支援はなく、毎週30分以上かけて送迎をしなければなりませんでした。相談当時、運転に困難を抱えていた私は、「知識的なソーシャルスキルは小学校までで十分に育ったから……」と言われたこともあり、娘の週1~2時間の「居場所」を確保する為に、中学校で通級支援を継続することは断念しました。

 次に支援センターで提案されたのはデイサービスでの居場所作りでしたが、これも個別支援を受けることができる事業所には送迎サービスがない為、放課後のわずか1~2時間の為に養育者が送迎をしなければならない状態でした。全ての学校に通級支援があれば……全ての事業所が通いやすい場所にあれば……送迎支援さえあれば……そう思わずにいられないこともあります。仕事をしている関係上、送迎をすること一つとっても私たちにとっては超えられない問題なのです。

【まずは養育者が支援を受けること】

 このように、残念ながら全ての発達障害児が適した支援を受けられるわけではなく、養育者への負担が大きいのが現状ではないでしょうか。この負担を少しでも減らす為に、養育者本人が率先して福祉支援を受けることが望ましいと言われています。例えば中学校のスクールカウンセリングは、児童の利用がなくても養育者一人で心に抱えた悩みを打ち明けることができますし、児童相談所では養育に関する相談をいつでも受け付けてくれています。

 いずれかの福祉サービスに相談することで、「発達障害児親の会」のようなNPO団体を紹介してもらうこともできます。同じ悩みを抱える者同士が繋がり、狭くなりがちな視野を広げ、見通しを持ち、心の負担を軽くすることもできるでしょう。何よりも養育者と児童の双方が共倒れになってしまう事が、もっとも避けるべき問題ですから、養育者側が支援を受けることが、そのまま児童の支援に繋がるのではないでしょうか。

 養育者が暗い顔をしていれば児童も暗い顔になってしまいますし、養育者が笑顔であれば、児童も笑って過ごしていることができると思うのです。これが障害のあるなしに関らず、全ての養育者の課題ではないでしょうか。

[参考記事]
「発達障害児も通う放課後等デイサービスでは何をしているのかを解説」

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