私は発達障害

息子のADHDの症状は注意欠陥と衝動性が強く、多動性は弱い

 

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ADHDは脳の機能トラブル

 ADHDの正式名称は「注意欠陥多動性障害」。「注意欠陥(注意力の欠如)」・「多動性」・「衝動性」の3つを主な症状とする先天性の脳の機能障害です。誤解されがちですが、親の育て方や本人の性格などのせいで起こるのではありません。

 どの症状がどの程度強く出るのかは、個人差がとても大きく、「多動性」を持ち合わせていない子も存在しています。その場合は、ADD(注意血管障害)と呼ばれ、厳密にはADHDとは区別して扱われています。

ADHDの特徴は誰もが持っている

 ADHDの症状は人間ならば誰でも持ち合わせている性質です。ただ、その症状が強いことによって、日常生活や社会生活上でさまざまな困難や支障が生じてしまっている場合、ADHDと診断されることになるのです。

 ADHDの特徴は「注意欠陥」・「多動性」・「衝動性」と簡潔にまとめられていますが、具体的にはどんな言動となって現れるのかはピンときませんよね。

 というわけで、今回は小学2年生の私の息子を実例として、具体的な言動を紹介したいと思います。

ADHDの症状の3つの特徴

1:注意欠陥
 注意欠陥(注意力の欠如)とは、簡単に言えば「うっかり」のことです。いわゆる「うっかりミス」は誰でも経験がありますよね。ところが、その頻度や内容が一般レベルを超えてしまうのがADHDなのです。

~息子の場合~
 息子の注意欠陥の症状は主に「忘れ物・なくし物」と「転びやすい」です。学校に持っていかなくてはいけないもの(上靴や体操服など)を家に置いたまま登校してしまう。

 朝持って行った上着や傘を持って帰ってくるのを忘れてしまう。鉛筆や消しゴムは何度買い足したことでしょう。

 やり終えた宿題のプリントをなくしてしまったことも数えきれないくらいです。これはさすがに学校生活にも大きな支障をきたしてしまいます。

 そしてもうひとつ。息子はとにかくよく転びます。体育の成績は決して悪くはないので、運動自体が苦手なのではありません。ただ、「周りを良く見る」ことをしないため、先にある障害物の存在に気が付けないのです。ほぼ一年中、体のどこかに切り傷やアザを作っているため、虐待を疑われないかとヒヤヒヤしていた時期もありました。

 実際に整形外科のお世話になったことも何度もあります。とにかく交通事故にだけは気を付けるように、口を酸っぱくしている毎日です。

2:多動性
 多動性とは、「じっとしていられない」ことを言います。特に子供は落ち着きがないのが当たり前。ところが、社会性が育ってくる学童期になっても、公共の場などで落ち着いて座っていられない。常に体のどこかをモゾモゾと動かしている。こんなふうに、年齢にふさわしい「落ち着き」が伴っていないのが「多動性」の特徴です。

~息子の場合~
 息子に現れている多動性は弱いです。ですが、授業中はほとんどいつも足がモゾモゾと動いています。そしていつの間にか上履きは脱げ、それを足でいじりまわす。家でも常にナゾの動きをしています。大きな声で騒いだり、授業中席に席を立ったりしない分、まだマシなのでしょう。今のところは「男子ってこんなもの?」と成長を見守っている段階です。

3:衝動性
 衝動性とは「我慢できない」ことを指します。大人の中にもいますよね。しかしそれは「ワガママ」とは性質が違います。目に留まったものや気になったことに注意を向けるのを抑えられないのです。

~息子の場合~
 彼の衝動性の強さは「ものが散乱する」現象が物語っています。例えばこんな感じです。本を読んでいたら、ふとオモチャが目にとまります。すると、そのオモチャが気になって本のことはすっかり頭から消えてしまいます。当然、本はそのまま放置。オモチャで遊んでいるときに、今度はふとそのキャラクターの塗り絵があることを思い出します。そして塗り絵を始める息子。これが何回か繰り返された結果、すべてが中途半端な状態のままで、部屋の中にものが散乱しているのです。

 我に返った息子は、その時になって初めて部屋の惨状に気が付きます。これが息子の衝動性です。

すべての症状はつながっている

 息子の例をご覧いただければお分かりになる通り、衝動性と多動性と注意欠陥はすべてリンクしています。気になるものがある→そこに意識が集中してしまって、周りのことが目に入らなくなる(注意欠陥)→近くに行って見たい気持ちを我慢できない(衝動性)→行動を止められない(多動性)。

 どこまで「理性」が発達するか、どの症状が強く出るか、などによって外から見える言動は異なってきます。ですが、本質的には「注意欠陥・多動性・衝動性」はそれぞれが影響しあっています。これはもう脳の機能や構造上の問題なので、本人もどうしようもないのです。

トレーニングで改善できる

 ADHDは言わば「先天性の障害」です。だからといって、一生涯「問題児」でいるわけではありません。知能自体は全く正常な場合がほとんどですから、専門的な訓練を受けることで十分改善可能なのです。そのためには一日でも早く訓練を開始することが何より重要だと私は考えます。

 ADHDはとにかく周囲から「問題児・困った子・嫌な奴」と思われがちです。本人も自分の言動に悩みを抱えているケースがほとんど。これを放置しておくのはとっても危険なのです。人格形成期にある子供時代に自分という存在自体を否定されることや、自分に対する劣等感や否定感を持ってしまうことは、二次的にうつ病などの精神疾患の引き金になるリスクがとても高くなります。

勇気をもって受診を

 ADHDを抱えたままで社会生活を送るだけでも、本人にとっては大きな負担となります。そこに「自分はダメな人間」という劣等感までも背負うことになってしまったら…それはとてもつらく苦しい人生だと思いませんか?

 お子さんの障害を認めることは、親としてはとても勇気がいる事です。ですが、その一歩をためらえばためらう程、お子さんの苦しみは強く大きくなっていきます。私も最初はとても怖かったです。だから「受診をためらう」気持ちはとってもよくわかります。

 でも、大丈夫。確定診断が下ったとき、私はとっても「スッキリ」しました。これまでの不安やモヤモヤの正体がわかったからです。原因さえわかれば対処法はおのずと見えてくるもの。お子さんだけでなく、親であるあなた自身のためにも、早期の受診を心よりお勧めします。

※ADHDの場合、薬を勧められる場合がありますが、個人的には反対です。コンサータなどの薬は非常に強いですので、出来るだけお子さんには飲ませない方がいいと考えています。療育によりADHDの性質に修正を入れることがベストです。

[参考記事]
「ADHDの薬コンサータの副作用で幻覚。袖から大きい蟻が」

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