この記事は30代の女性に、アスペルガー症候群に向いている仕事について書いていただきました。
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私は幼い頃から人とのコミュニケーションを上手く図ることが出来ず、学校では常にいじめのターゲットにされていました。意思の疎通の困難さは家族との仲にも影響し、融通が利かない、いつもトラブルを起こすと言って喧嘩になり、ほとんど毎日泣いている日々が続きました(今では家族は私のことを理解しています)。
大人になった今でも人間関係での苦悩は続いており、彼氏も友達もいません。そういった存在が出来てもすぐお互いのやりとりが上手くいかなくて関係が続かないのです。
「どうして私だけが?他の人は普通に出来ているのに。」
そう思う日々が続いた中、20代後半に心配した両親が病院に行くように勧めてくれて、担当の先生に診てもらったところ発達障害の中の一つであるアスペルガー症候群であることが分かりました。
「学生時代あんなに辛い思いをしたのに何で大人になってからでないと分からなかったんだろう?悔やんでも過ぎた日々は戻らないのに。」
アスペルガー症候群について先生から聞いてすぐはショックでなかなか受け入れられませんでした。根治する治療法が確立されていないからです。
思い悩む日々が続きましたが、ここで止まっているわけにはいかず何冊も専門書も読み、実践もしました。
しかし、仕事では「マルチタスクは苦手で、ルーティンワークでないとパニックになるから指示は一つずつでお願いします。一つのことに集中する癖があり、他のことは忘れてしまいます」などと理解を求めても理解を得られないことが多かったです。中には私を「それってただやる気がないだけでしょう」と極端に頭ごなしに怒ってくる人もいました。結局は仕事が続かず、職場は数えたらキリがないくらい変わりました。
なぜ今は受け入れて日常生活が楽になったのか?
アスペルガー症候群の専門書も数多く読みましたが、「結局、自分の障害が分かっても対処の仕様がなく辛い」と心の中で思うばかりでした。
そんな時期が長く続いた後に私は自分の障害を上手く扱うことができるようになりました。
やはり一番の困難は良好な人間関係を築けないことです。ですので人とはなるべく距離を置いて付き合った方が良いと考えました。仕事は就職という形ではなく、個人で出来る仕事の方が人とのトラブルも避けられるし、好きなことを仕事にできるのでストレスも溜まらないで済むと思いました。
そこで在宅でパソコンを使った仕事に切り替え、日々コツコツと自分に出来るルーティンワークをこなして今は精神的にも非常に安定しています。アスペルガー症候群の性質から好きなことに対しての集中力だけはあるのです。1つの事に集中してできるし、マルチタスクもありません。
もちろん、アスペルガー症候群の人が全て在宅で仕事をと言っているわけではなく、研究職やプログラマーなど一人で黙々と行うことができる仕事が向いていると思います。私はだた在宅での仕事が向いていただけです。
在宅ワークならば自宅にインターネット環境があれば仕事が出来るし、人とのやりとりもメールだけで済むので、人間関係もいりません。人によってはそれは「逃げ」だと思われるでしょうが、人と関わって心が壊れるくらいなら、私はこちらの環境を選びます。
アスペルガー症候群の性質に合った仕事の選択だけでなく、自分に合った環境を整えることも大切だと感じてから少しずつ自分の障害を自分自身で本当に理解し始めました。例えどんな障害があろうともその中で使える道具、つまり自分ならではの得意なことや好きなことを仕事や生活に活かせるようになり、毎日が楽しくなりました。
仕事を在宅に切り替えてからは家族とのふれあいの時間や外出が増え、自分の趣味や家事といった仕事以外のことものびのび出来るようになりました。
まとめ
ルーティンワーク以外だとパニックになる、意思の疎通も決して簡単ではない、こだわりが強いなど、まだまだ暮らしやすい環境を整えるため工夫をする必要がありますが、両親が私のことを理解してくれるので心から感謝しています。人付き合いは苦手ですが、言葉にしなくても私を分かってくれる人だけでいいです。その人たちとの程よい距離感を保った付き合いをこれからも大切にしていきたいです。
[参考記事]
「自閉症スペクトラム障害(ASD)って何?その特徴とは」