この記事は30代の男性に書いていただきました。ADHDを持つことによるプラス面とマイナス面を書いていただきました。
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ADHDの私が社会に出て困ったことを書きます。私は30代前半の男性ですが、ADHD(発達障害)と診断を受けています。ADHDで代表的なものとしては、多動性、衝動性、不注意性の3点があります。症状には個人差があり、その度合いも弱いものから強いものまで様々です。
私の主な症状は集中力の維持が困難なこと、じっと座っていられないこと、そして時々衝動的に遠くへ旅立ってしまうなどです。3点全て揃っています。
ADHDの性質によるマイナス面
①小学生の頃からじっと座っているのが苦手で、常に体のどこかを動かしていないとモゾモゾしてしまい、急に全力で駆け出したくなるような感覚に襲われます。
②集中力の維持ができないので、授業も上の空。話を聞いている最中に別のことを考え出したりしてしまうのです。一つに集中すると他のことができないので、話を聞きながらノートを取るということができません。
家に帰って復習しようとしても板書した内容が支離滅裂で自分でも理解することができないという事態に陥りました。頭の中が常に混乱している状態なので、理路整然と物事を順序立てることが苦手です。
③ADHDには先延ばし傾向があり、物事に取り掛かる際、尋常ではないほどのストレスがかかります。これは脳の報酬系の働きが弱いためであるとされており、強い刺激を脳に与えないと行動意欲に繋がりません。目先の快感にすぐ目がくらみ、何かの作業中であっても興味を惹かれるとほっぽり出してそちらへ行ってしまいます。
④私はドーパミン(快楽物質)が放出されると頭がすっきりし、急に頭が整理されてくるという特徴もあります。私は一度車に轢かれそうになった際、体の底から快感を覚え、叫び出しそうになったことがあります。危険なことが起きると脳が覚醒するのです。ADHDを持つ方は危険なことを好む傾向がとても強いです。自分ではコントロールできないので、意識的に注意しています。
ADHDの性質によるプラス面
ADHDにはいくつか武器があります。その中の一つが過集中と呼ばれるものです。一度スイッチが入ると自分でも止めることが出来ず、延々とのめり込むことが出来ます。集中が切れると寝込むほど体力を使いますが、うまく使いこなせば強力な必殺技になります。
私は楽譜が読めないにも関わらずピアノコンクールの伴奏者に立候補し、2週間ほど過集中を使い、演奏をマスターし、金賞を獲ることができました。また多動のため座っていることが苦手な性質は運動に活かされ、常に走り続けていた経験は陸上競技で開花し、そのまま全国大会で優勝してしまった経験もあります。
本当の戦いは社会に出てから
学生時代までは友人の助けなどもあり、紆余曲折を経て無事に卒業に至ることができましたが、本当の戦いは就職してからでした。私は某カーディーラーに営業職として入社し、意気揚々と社会に羽ばたきました。
しかし話が聞けない、メモが取れない、書類の管理ができないという性質は、働く上で致命的なハンデとなったのです。学生時代は自分が発達障害を持っているなんて考えてもいません。しかしこうもミスが多く、やろうとしてもできない状態が続くと、自分でも何かがおかしいと思うようになりました。
私はいくつか心療内科やカウンセリングに通い、ついにADHDとの診断をされました。これでやっと腑に落ちたのです。これは障害だったのか・・・と。
投薬、認知行動療法と色々試しましたがあまりいい効果が見られなかったので、自分に合った生き方を模索する方向で人生を生きていくことにしました。
今では友人の会社でアウトドア系の記事を書いたり、林業系の会社で働いたりしています。林業は辛い仕事ですが完全歩合制のため、いつ行ってもいつ帰ってもいい、その代わりやった分だけの給料しかもらえない、やったらやった分だけもらえる。そのような仕事です。集中できない時は帰る。覚醒したら全力で頑張る。このメリハリが効く仕事です。
一生付き合っていかなくてはならない障害ですが、私は結構気に入っています。これからも仲良くADHDと共に歩んでいこうと思っています。