この記事は40代の男性に書いていただきました。
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この記事では、私が就労継続支援A型の事業所で働くようになったきっかけ、作業内容などについてお話しします。
① 就労継続支援A型事業所で働くきっかけ
47歳を過ぎ、いつもと変わらず同僚と昼食を取っていた最中、パニック障害に陥り、救急車で搬送されました。診断の結果、鬱病の診断をされ、会社を退職。その後、いわゆる引きこもりの状態が1年半も続いてしまい、「これでは、人生終わりだ。一歩ずつでいいから、外に出てみよう」と思うようになりました。
失業保険の給付もとっくに終わり、アルバイトでもと考えていると、居住している地域の区役所で「自立支援制度」という制度にたどり着きました。その名の通り、この制度は、何らかの障害がある人をサポートする制度で、医療費、薬代の免除、軽減、また交通機関等の無料パスの発行等が医師の診断書を添えて申請する事により可能になる制度です。また、この制度のつながりで、就労支援に関してもアドバイスを頂ける運びになり、専任の職員から就労支援施設の存在をここで初めて知ったのです。
病状はある程度改善され、外に出られるものの、通勤ラッシュに耐えうるメンタルもなく、1日8時間以上の勤務も正直自信が持てない状況での職場探しでしたので、ハローワークに行っても、ネットで検索しても、希望に沿う仕事はほぼない状況でしたので、就労支援施設の存在は非常に大きなものになりました。
② 就労継続支援A型事業所の仕事内容
出勤時間が10:00で、通勤距離も近く、就業時間も少ない。これほど、鬱病からの脱却、社会復帰への第一歩となる方法はないと思い、区役所の専任職員に頼み、ハローワーク経由で面接、体験就労を経て入所(私が通っている就労支援施設は、株式会社なので入社ということです)になりました。こういった就労継続支援施設に入所するには、障害手帳と自立支援資格者証が必要になります。
また、就労支援施設の種類にも就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所があり、大きな違いは、A型は会社との雇用契約による賃金労働、B型は請け負った業務の成果の分配よる工賃労働になります。
よって、私が就労している施設A型は何かを学習しながら一般就労を目指すというより、雇用契約を結ぶわけですので、就労時間は短いですが日々の業務は一般の企業様となんら変わりはなく、学校感覚では決してありません。他方、B型は単純作業、軽作業が主たる仕事になります。病気の程度が著しく悪く、常に支援員が付き添わないとならない人はB型を選択されています。
私が通っている就労継続支援A型事業所の同僚は発達障害者、そして鬱病や対人恐怖症等の精神的な病状の方が多く、彼らは満員電車による不安、一般企業においてコミュニケーションができない不安を抱えています。症状が酷くなるのを避けるため、なるべく他人との受け答えが少ない業務、例えばPCを使った作業(文字起こし、ライティング、WEBサイト制作、デザイン等)及びポスティング業務などがメインの仕事です。
これらの業務をこなしながら精神状態も安定し、通勤への支障もなくなり、生活のリズムが改善された方は1~2年ほどでフルタイムの一般の会社へ移っていきます(ただ一般の会社と言っても「障害者枠での就業」が多くを占めている)。就労継続支援A型事業所に1~2年ほどの在籍期間がないと、障害者枠で採用するにしても安心して採用できないのが実情であると思います。
③ 無理は禁物
就労継続支援A型事業所について述べさせて頂きましたが、何らかの理由で、精神的に一般の企業や一般のアルバイトで仕事をする事が難しい方、ご自分の体調を鑑みながら、お住まいの自治体の自立支援制度に関する窓口を訪ねて行ってください。
ただ、無理は禁物です。不完全な体調で、たとえこのような施設に入所できたとしても、休みがちだったり、短時間でも仕事がおぼつかないようなら、かえって病状を悪くしたり、自分のキャリアシートに堂々と記入する事もできず、社会復帰は遠のくばかりです。担当医の先生とよく相談しながら、一歩一歩進んでいただければと思います。
④就労継続支援A型事業所の存続は厳しい
経営する側として、このA型就労施設の存続は大変難しい状況です。簡単に言ってしまうと、行政の支援や援助だけの運営は難しくなってきています。就労継続支援A型事業所が補助を頼らず、利益を生み出さないと施設としてなりたたない状況になってきているのです。よって、一般企業より少し業務は軽減されますが、仕事の質、納期の厳守等はなんら変わらぬ様、働かないといけないのが事実です。