この記事は20代の女性に書いていただきました。
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私(20代女性)自身のADHDによる、アルバイトでの困りごとを書きたいと思います。
動作性と言語性IQの差により…
私は、WAIS‐Ⅲの知能検査により、言語性と動作性のIQに25の差があると分かりました。動作性IQが低いため、「分かっているのに動けない」という状態が多く、アルバイト時代とても困りました。例えばビールの栓抜きや、ドリンクを注ぐ動作をすると、いつも「遅い!!」と言われる始末。
特にWAIS‐Ⅲでは「知覚統合」の数値が低く、空間認知に問題があるといわれました。視覚情報のキャパシティーが、すぐにいっぱいになって頭が混乱してしまうそうです。
自己認識ではASD(自閉症スペクトラム障害)傾向も少しあり、「曖昧な指示」の把握が苦手ということでも困りました。
初バイトでの躓き
大学生になり、初めて経験したアルバイトは、ホテルの披露宴の配膳業務。ADHDによる「注意力不足」で困りました。例えば「グラスの数を数える」こと。メモをとっても、すぐ数が分からなくなり、1からやり直し。
また、もうひとつはADHDに多い、「時間の逆算が極端に苦手」「締め切りに間に合わない」特性が現れました。「洗い物何分で終わる?」「ナプキン折り終わるのにどれくらいかかる?」と聞かれて、5分と答えるものの、結局30分以上かかることも。時間に厳しいこの業界では、なかなか難しいと分かり、離職しました。そのときは、ただ「自分がおっとりしているから仕方がないか」と思いながら…。
そしてADHDの他にはASD(自閉症スペクトラム障害)の傾向もあるのですが、披露宴終わりに、チームで一斉に片づけをする場面で困りごとが出てきました。動作性IQが低く「分かっているけど動けない感覚がある」性質とASD(自閉症スペクトラム障害)の「曖昧なことが苦手」な特性により、明確な指示がないと戸惑います。結果、一人立ち尽くしていました。
2社目以降も続く挫折
ホテルのアルバイトは、「厳しいし、履歴書に書けるくらいの実績になる」と親に言われていたので、他のアルバイトは余裕でこなせるのでは?と思っていました。その後、ステーキ屋、カフェ、と接客・飲食のアルバイトを経験しましたが、ことごとく上手くいきませんでした。
一番困ったことが、「洗い物」。店舗用の食器洗浄機を使うのですが、空間認知が弱く、大中小のお皿やコップをどこに置いて回せば効率がいいのかを、頭の中で組み立てられず、パニックになりました。どんどん積みあがっていくお皿を見て、ただただ焦りながらも呆然としていました。
それから大問題が起きました。オーダーを取り、その後すぐ新しいお客さんが来て案内しなければならない、そして先輩に机を拭いてと指示される、ほかのお客さんからオーダーを受ける…そうすると、オーダーを受けたことをすっかり忘れ、ポケットにメモを30分も入れっぱなしで、キッチンに伝えていなかった…ということが何度かありました。お客さんを怒らせてしまったことも多かったです。つまり、マルチタスクが苦手なのです。
これは、ADHDの「ワーキングメモリ」が少ないことが原因です。短期記憶が弱いのです。持っているキャパが小さくて、言われたこと・やるべきことをたくさん乗せられない、そんなイメージです。
レジ業務も全くできませんでした。会計時にレジを操作してお金を受け取る、ポイントカードを勧める、おつりを数えて渡す…そのような動作がいつまでも苦手で途方にくれました。コンビニのアルバイトは、時給が比較的安いと思うのですが、私にはとてつもなく高度な仕事に思えます。レジはもう「やらない!絶対…!」
最後の最後に、席数が多すぎず、比較的ゆったりしていて、接客がゆっくりで丁寧。ここのお店の雰囲気なら上手くいくかな?と思った憧れのイタリアンレストランで働きましたが、やはり躓きました。覚えがとっても悪く辛い思いをしました。やっと飲食業に対する諦めがつきました。
一人仕事は上手くいきやすい
その後はADHDの診断をもとに、住宅展示場の受付や、量販店での携帯電話宣伝MC業務、コールセンターなどのアルバイトを経験しました。チームワークが要らず、一人で出来る仕事でかなり気が楽でした。しかも、時給が比較的高いのでおススメです(笑)
孤独に耐えられるのも、適性の一つだったのかもしれません。住宅展示場受付や量販店でのMC業務では、様々な場所に派遣されるので、日に日に人間関係が変わる。それも、変化が好きなADHDの自分からすると、楽しかったのです。
しかし、「MCなんて恥ずかしくて無理!」と言っている友人もいて、得意なこと苦手なことは障害に関わらずさまざまだなと実感しました。大学生時のアルバイトは、多くの発達障害の方にとって、辛いものであるかもしれません。でも、「自分にできる仕事があった」という経験は、自己肯定感を育んでくれたように思います。発達障害のみなさんが、ご自身に向いている楽しい仕事に辿りつけますように祈っています。
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