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アスペルガー症候群の姉が結婚生活を上手くやっている理由

この記事は20代の女性に書いていただきました。

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 姉はアスペルガー症候群と診断を受けていますが、今では結婚をして夫と上手くやっていけています。上手く行っている理由を妹の立場から説明していきます。

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人より変わっている私の姉

 私の姉は小さい頃から回りの人と溶け込んだり、上手く空気を読んで行動することが苦手でした。そのため暗黙の了解やオブラートに包んだ表現は伝わりにくく、人間関係のトラブルも多かったです。でも頭もよくて運動神経もあったため、学校の先生からは「頭はいいが協調性に欠ける」と評価されてきました。

 親は幼少の頃はさほど気に止めていませんでしたが、中学生の頃になると明らかに周囲との差を感じさせることが増えました。

 特に周囲との差を感じた出来事では、個人での勉強やスポーツは比較的成績もよかったですが、グループワークでは輪を乱し、集団競技ではワンマンプレイばかりでした。そして周囲の人が注意しても、何で注意を受けるのか理解に苦しんでいました。

 それにスケジュール管理や時間の調整などは具体的であるほど簡単にこなし、抽象的であったり、情報量が多いほどにミスも目立っていきました。

 恋人が出来たときには相手との感情の駆け引きを理解できない・相手が何に楽しみや喜びを感じているかわからない・デートが予定とずれるとパニックになるなどたくさんの出来事がありました。

姉がアスペルガー症候群と知ってから何をしたか

 家族で話していても明らかに姉と私では違いがあると両親も感じていたそうです。しかしそれを認めたくないため、人よりちょっとずれている・人より個性的と両親は現実逃避をしていました。

 しかし学年が上がるほどに対応にも限界が生じたため、発達障害について病院に調べてもらいました。初めは家族に十分な知識がなかったことと姉は活発だったためADHDかと思いました。予想に反して診察の結果アスペルガー症候群でした。家族全員ショックでしたが、その時本人は「なぜショックを受けているか分からない」と言っていました。

 診察してくれた医師にリハビリで治るか聞きましたが、「発達障害は脳の器質的変化ですので、治すのは難しい。ただ、アスペルガー症候群に対してはソーシャルスキルトレーニング(SST)が効果的」と説明を受けました。SSTは、場面や環境に応じてどのように行動するか、人の行動にはどんな感情的意味があるのか、曖昧な表現の理解などをマニュアルとして学習します。

 実際に姉にSSTを受けてもらい、初めは混乱していましたが、場面に応じた適切な行動はマニュアル通り取れるようになりました。しかし周囲に対する感情が伴った行動(配慮や遠慮など)や曖昧な表現は苦手です。

現在の姉はどうなっているか

 SSTをくり返す中で次第に姉の周囲の環境も以前よりも良いものになっていきました。以前よりも適切なコミュニケーション・連携がとりやすくなったため、周囲もやり取りがしやすいと喜んでいました。

 現在は社会人となり、結婚もして家庭を持っています。会社も夫もアスペルガー症候群に対して理解かあります。仕事では出来るだけ具体的かつ選択肢の少ないマニュアル化した業務を中心に任せてもらい、人一倍活躍しています。

 家庭では夫とのコミュニケーションも上手く取れています。夫にも曖昧な表現は避けて出来るだけ具体的に話してもらったり、夫の喜怒哀楽の表情をオーバーに表現してもらい客観的に分かりやすくするなど協力してもらっています。

 ただし、まだまだ改善されていないところも多々あります。

 今でもメールは文章の意味をそのままに受け取ってしまうため、微妙なニュアンスが含まれていると読み取れずにうまく伝わらないことが多いです。意味をとらえ間違えたまま伝わってしまうため、互いの認識にずれが起こります。

 例として旦那さんが「仕事で帰りが遅れる。ご飯は大丈夫」とメールで伝えたそうですが、姉はいつも通りご飯を作って待ち続けていたという出来事がありました。本当であれば具体的に「夜の9時に帰ってくるから、外で食べてくるね。だから俺の分は作らなくていいよ。一緒には食べられないから、自分の分だけ作って食べていていいよ」と送るべきでした。姉は恐らく「仕事で帰りが遅れるけど、ご飯を作ってもらっても大丈夫?」と夫が聞いてきたのだと思ったのでしょう。

 それをきっかけに姉は夫にしっかりとアスペルガー症候群について説明し、より理解を得られたそうです。今ではそういった誤解を避けるためにも、できるだけ連絡を取るときは電話でするようにしています。姉の夫は曖昧な言葉を使うと誤解が生じるため、遠慮なくハッキリと話せるため、今の生活が合っていると言っています。

 アスペルガー症候群に限らず、発達障害の人と結婚するとすれ違いの生活が続きやすく、その結果離婚なんて家庭もありますが、姉の家庭ではすこぶる上手くいっています。姉夫婦のように工夫次第で上手くやっていけるということを知ってほしいです。

最後に

 アスペルガー症候群は治るものではないと医師に説明されたときは姉以外の家族全員がショックを受けました。

 SSTで改善できた部分もありますが、まだまだ一般の人のような自然さとは言いがたい状態です。そして今後もアスペルガー症候群が治ったり、姉が大きく変わることはないと思います。それでも多くの方の理解や協力があって問題なく暮らしています。

 姉は人より少し変わっているためこれまでに苦労も多かったですが、それ以上に理解ある夫という財産を手に入れ、家族一の幸せ者だと思います。

[参考記事]
「発達障害の夫と子どもの間に立つ妻の精神的な負担。病むこともある」

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