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アスペルガー症候群の人が社会に適応しづらくなる原因とは

この記事は30代の男性に書いていただきました。

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 今回は、アスペルガー症候群当事者である私の経験を通じて、社会に適応しづらいといわれるアスペルガー症候群の人はどのように考えているのか、どのように対応をして欲しいと思っているのかなどを書かせていただきます

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◎言葉の理解は出来るけど・・・

 私はアスペルガーと診断を受けている30代(男性)の会社員です。思い起こしますと、幼稚園や小学校では勉強は人並み以上にできましたし、言われた事をこなすのも得意で、それなりに優秀と評価されていました。

 ただ、中学や高校ともなりますと友達関係や恋愛が大事になってくるので、人との共感や距離感が重要となっていきますが、それに対応できずに徐々に周囲の人たちとズレが生まれてきました。

 周りの人と私の違いは「言葉をどのように受け取っているのか」です。信じられないかもしれませんが、言葉というものは情報や意思の交換に使うものだということを理解できていなかったのです。言葉は「単なる規則」であるとしか認識できませんでした。

 「何々をしろ」と言われると「これが正しい!それと反対の事は絶対にいけないことだ!」と思っていました。例えば、「ピシッとしなさい」と励まされたり元気づけられたりするだけで、「ずっとピシッとしてなくてはいけない、ピシッとしないのはいけないことだ!」と思ってしまうんですよ(笑)これが私の中でルールになってしまうのです。

 アスペルガー症候群の人はルール通りに動いたり、考えたりすることが好きですが、人から言われたことも私の中でルールになってしまうのです。ですので、「ピシッとしてないといけない」という基準を持って自分を判断してしまいがちです。

 それに、人って、必要なことだけ言うだけではありませんよね。たまには冗談や、感情を乱して悪口や愚痴も言うものです。でもそれすらも「こういわれたから、そうしなきゃ。」と言葉通りに律儀に受けとってしまっていたのです。

 なので、大きくなるにつれて、色々な言葉による基準がいっぱいになって混乱してしまい、動けなくなっていきました。その結果、周囲からは「言われたことをこなせない。」と評価を受けるハメなってしまいます。

 周囲の方々が色々自分を社会に適応させるために言ってくれてもルールが増えるだけになってしまい、それが逆に社会に適応できなくなってしまう原因になるという複雑性をはらむことになるのです。

◎言葉の中身を理解させてほしい

 もし、アスペルガー症候群の人と交友する機会がある場合、ぜひ、言葉を投げかける際に「これをしなさい」という言葉の前に、「こうする為に」や「このような目標を目指すために」という一言を加えてみてはいかがでしょうか。

 そうすればアスペルガー症候群の人は、「言われた事を絶対に守る」のではなく、「何々をするために、このような言葉を言っている」という相対的な思考ができやすくなります。それを続けていく内に、条件によってはルールは変わるもの、ということが学べるきっかけになります。

◎言葉に囚われてしまうと

 人から「これは正しい」「これは間違っている」と言われたのを真に受けて、「このようにしていれば良い」「このようにしないのはいけないことである」と、言われた言葉を守ることで自分は常に正しいのだと居直るようになっていました。

 そうしていく内にどんどん自分中心になり、気配りをしてくれた人を傷つけたり、逆に傷つけられたり、社会に適応しづらくなっていきました。

◎おわりに

 アスペルガー症候群と聞くと関わり合いになりたくないという人もいるかもしれません。当事者の私としては、若干周りとはズレてはいますが、攻撃的だったり衝動的に悪い事をするワケでもなく、皆様と社会の一員として暮らしていきたいです。

 ただ、「普通」が分からないだけなんです。それを身に着けるのは本来は幼少期から行なうのが効果的なのですが、私は大人になってから診断を受けたため、その機会を逃してしまいました。ですので、今も「普通」を模索している最中です。

 社会の中でアスペルガー症候群の人が能力や先天的性質を活かせるよう、周囲の方々のご配慮をいただければ、当事者として嬉しいです。

[参考記事]
「アスペルガー症候群の二次障害による暴力が止まらない次男の話。夫の首を絞める」

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