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自閉症スペクトラム障害の性質によりルールから外れるのが嫌い

この記事は30代の男性に書いていただきました。

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・はじめに

 35歳の男性会社員です。発達障害と診断を受けたのは4年ほど前のこととなります。元々18歳の頃から統合失調症と当時の医者に診断を受け投薬治療を続けておりましたが、検査によって発達障害(自閉症スペクトラム障害)であると診断されました。統合失調症は発達障害の二次障害として生じていたのではないかと思っています。

・幼少時代から小学生まで

 私が幼少の頃は癇癪(かんしゃく)を起こしやすい子供であったと母から聞きました。「前回はこう言っていたのに今回は真逆のことで叱られた。」という文句を言って泣いていたそうですが、ルールから外れることを嫌う自閉症スペクトラム障害の性質がこの頃からありました。正義感が強いとも言われており、普通の人がオブラートに包んで言うべきところ、ストレートに話してしまうため、混乱は成人になっても続きました。

 小学校では理知や知識を司る左脳は人並みかそれ以上だったので、テストではいつもほぼ満点で、先生からも良く褒められ、中学受験にて第一志望の中学に合格しました。

・中学からの変化

 中学生ともなるとただ遊ぶというだけでなく、人間関係も複雑になってきます。冗談で人をからかうなどの交流もありますし、恋愛なども始まってきます。

 ですが私は冗談を言われてもそうだと気づかず、「そんなことを言うんじゃない」と正義感を振りかざして喧嘩になることもたびたびありました。ルールから外れるのが嫌という自閉症スペクトラム障害の性質は小さい頃から変わらず、ダメなことはダメと冗談が通じない学生時代でした(成人した今もその性質は残っています)。

・限界と投薬治療

 大学まではエスカレーター式でしたので難なく大学生になれたのですが、いよいよ私の中で限界が来ました。何事にも意欲が出なくなり、精神的な落ち込みが酷くなってきたのです。

 そして、病院から統合失調症の診断を受けて投薬治療が始まりました。通っていたのが総合病院でしたので、先生が2年ほど毎に変わっていく中、とある先生が、「統合失調症と症状は似ているのだがどうにも違う、もう一度検査を受けてみないか」と言ってくれたので、検査を受けた結果、自閉症スペクトラム障害であると診断を受けました。

・ある日の階段のはなし

 ある日の出社する途中の駅で、階段を上るスペースのほうから下ろうとしてくる方がいたので、階段を上っていた私は「これはルールを破っている!」とその方を避けずにぶつかる覚悟で上がりました。幸いにその方は私よりずっと体格がよく、こちらの方が吹っ飛ばされそうでしたので事なきを得ました。小さい頃から変わらずの自閉症スペクトラム障害の性質がこんなところにも表れてきたのです。

 この時、私は恐ろしくなりました、「もしかしたら自分は「正義」というのを錦の御旗にいつか取り返しのつかない悪事を行ってしまうのでは。」と。ご存知の通り、正義の名のもとに戦争は行われ、多くの命が失われています。自分の正義と相手の正義は違うわけですので、衝突するのは当然です。

・善悪是非からの脱却

 それ以来、良い悪い、正しい正しくないの判断でずっと自分自身を混乱させていたことに気づき、まずはそれらのルールを一旦保留にして、人の輪や所作・振る舞いについて観察するようにしました。

 そうすると面白いことに「なるほど。この女性は自分をこの様に意識して欲しいためにこの様な化粧をしている。」など、善悪是非ではなく、お互いに適度に気を配りつつ人間関係とは維持されているのでは、と気づきました。

 そこから私は人の輪に積極的に関わっていくようになり、「今日は髪型素敵ですね。」とか「やせました?」と参加するようになりました。そうすると相手も心が動き、何か話してくれます。そうしていく内に、善悪是非を超えた普通の調和に少しずつではありますが参加できるようになってきました。

・おわりに

 自閉症スペクトラム障害の私には今でも「こうあるべし・かくあるべし」という強迫的な観念はありますが、徐々に修正していると感じます。発達障害というのも、性格の一部・特性であろうと思いますが、人は人と関わらなければ生きていきません。自分だけは正しいというルールで生きていると必ず人とぶつかります。ですので、世の中には色んな人がいて良いという価値観で、これからは社会で生きていきたいと思います。

[参考記事]
「自閉症スペクトラム障害(ASD)って何?その特徴とは」

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