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遅刻や約束忘れの多い発達障害(不注意型ADHD)の私の対処法

この記事は30代の女性に、不注意型ADHDと気づいてからどのように対処をしていったのかを書いていただきました。

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 現在、37歳の私(女性)は、大学を卒業してすぐに、地元の中規模出版社で営業職として働き始めました。入職当時は、地域密着型の情報誌(フリーペーパー)へ広告を掲載してくれる地元企業を飛び込みで営業をかけて、ということを担当していました。

 「営業の仕事はたくさんの人と会うことから始まる」「まずは、とにかくアポをとって、手帳を予定で埋めるようにすると良い」という入社時の研修で聞いた先輩のアドバイスを活かしながら、手当たり次第電話をかけて、アポをとっては、1日中企業をまわり、情報誌の概要を説明して、を繰り返していました。

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●なぜか私にだけ多い「遅刻」や「約束忘れ」

 学生時代、わりと友人は多く、「人と話をすること」は私自身得意なことだと思っていたので「営業の仕事は向いている」と考えて出版社に就職した経緯がありましたし、初めて訪れる企業であっても、そこまで緊張や不安を感じることなく営業することができていました。

 ただ、次第に、上司を介して、私が対応した企業からお叱りをいただく機会が増えていき、その理由としては、「一生懸命であることはわかるが、アポをとった約束の時間に遅れてやってきた」「そちらから今日のアポをとっておきながら、来訪がなかった」というような内容ばかりでした。もちろん多少遅刻したという自覚があるケースもありましたが、中には「そのアポの約束自体を手帳に書いておらず、完全に忘れていた」ケースもありました。

 そうは言っても、当初は、あまり気にとめていなかった私でしたが、そうしたお叱りは他の同期の営業よりも明らかに私だけに多いようで、上司からは「いい加減にしないと、営業から外すぞ!」と叱責されるまでになりました。自信を失った私は、仕事が辛くなり、気持ちの中では自分を責め、周りを責め、ついには夜は眠れず、食欲も落ちて、微熱が続き、仕事を休む日が増えるようになりました。

 「このままではいけない」と感じつつも、どうしてよいか分からない自分に焦りばかりが募り、ひとりで苦しんでいたことを覚えています。

●カウンセラーの友人からの助言

 大学時代の友人のひとりが、地元の心療内科でカウンセラーの仕事に就いていました。ときどき連絡をとる程度の仲だったのですが、そんな私を心配してくれたようで、ある時、ゆっくりと話を聞いてくれる機会を作ってくれました。その友人は、その時ばかりは、友人というより、カウンセラーとして、私の話を受け止め、悩みや不安を上手に引き出してくれたのだと思います、これまで私自身が気付いていなかった「溜まりに溜まったネガティブな気持ち」を初めて吐き出すことができ、気持ちがスーッと軽くなりました。

 と同時に、大学の頃から「うっかり忘れが多い」、「計画的な行動が苦手」な私を心配してくれていたことを打ち明けてくれた上で、最近は「大人の発達障害」のために「仕事や人間関係で苦労し、不全感を抱えやすい人が増えている」という興味深い話を聞かせてくれました。

 「大人の発達障害」にはいろいろなタイプがあるそうですが、とにかく、「あ、それ、私かも…!」と思うことが多く、営業職としてのこれまでの失敗を一緒に整理してもらううちに、「過密スケジュールになるとうっかり忘れが増えやすいこと」や「訪問のスケジュールを効率的に組み立てることがあまりに苦手であること」がみえてきました。

●不注意型の「大人の発達障害」

 その友人が言うには、自分の特徴をより正確に知るためには、専門機関にかかって、診察や心理検査などの専門的な対応を受ける方が良いそうですが、おそらく、私の場合は、ADHD(注意欠如多動症)の中でも「不注意型」の傾向が強いタイプかもしれない、とのことでした。

 これには妙に腑に落ちる感覚があって、なにより、「悪気があって遅刻をしているわけではない」し、「気を付けているつもりでも、つい予定を忘れてしまっている」のに、「上司はわかってくれない」という、当時モヤモヤしていた感覚に答えがみつかったような安心感を抱いた記憶があります。

 その後の自分の不注意型ADHDに対する対処法は、ときにそのカウンセラーの友人の力も借りつつ、また、ADHDに関する書籍なども参考にしつつ、「アポをとる前に、手帳の空き状況を確認し、移動に余裕をもったスケジュールを立てる」、「曜日ごとにエリアを決めて訪問し、移動時間の無駄を省く」、「急に決定したアポの約束や、電話で受けた上司からの指示はすぐにメモに書き留めて忘れないようにしておく」などの工夫を意識するようになりました。

 そもそもが「うっかり忘れ」の多い私なので、そうした工夫自体を「うっかり忘れ」てしまうこともあるのですが、しかし、間違いなく、以前よりはお叱りをいただく機会は減った実感がありました。「大人の発達障害」と言われると、初めは抵抗がありましたが、「(そうは言っても、人よりも)苦手なことが少し多くて、しかし、工夫によって少しずつ乗り越えていくことができる」のだと、今では信じることができています。

[参考記事]
「発達障害のADHDとはどんな障害なのか。脳が関わっています」

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