この記事は30代の女性に書いていただきました。
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私はADHD(注意欠陥多動性障害)です。その言葉が示す通り「注意欠陥」「多動性」そのものの行動をしていました。じっとしている事が出来ず、片付けが出来ず、すぐに物を失くし忘れていました。
ですが小さい頃、「発達障害」という言葉はメジャーではなく、ADHDなんて周りの誰も耳にした事すら有りませんでした。
そんな私は、親からも教師からもお説教はそれなりに食らっていましたが、「この子は変わり者だから仕方がない」と、ほぼ放置されたまま大人になりました。
高校生になり、アルバイトで働き始めた頃、自分は時間が守れない人間である事、そしてそれがいけない事であると気付きました。ですが、気付いたところで直せないのです。勿論叱責されたりはしますが、矢張りたかが高校生のアルバイトですから、そこまで強く言われる事もクビになる事も無く大人になりました。
社会に出て初めて、自分にはとんでもない欠陥が有ると知りました。職場で理解されない私の5つのADHDの性質を紹介します。
①時間が守れない
気合でギリギリ5分前出社、最悪でも始業時間と同時出社でしのいでいました。白い目で見られてはいましたが、朝が弱い人と思われ、多少は目をつぶって貰っていました。
②書類整理が出来ません
片付けが出来ないので当然なのですが、物事を順序良く進める事が出来ない上に書類すら何処に何が有るか解らない有様なので、作業は遅れます。
③目の前の事に集中が出来ません。
普通ならば一つ一つ順番に処理して行く様な仕事を、何故か同時進行で進めてしまいます。作業中に他の作業に気を取られ、直前の作業を放ってそちらに手を付けてしまいます。
そして、ずっと同じ場所で同じ作業も出来ない性質なので、しょっちゅう席を立ってしまいます。
④頼まれごとを忘れる
自分の作業中に何かを頼まれるとそれを忘れます。「後でお願い」などは最も出来ないので、その頼み事自体そっくり忘れます。
⑤失くしもの、間違い、見落としが多い
電話中にメモを取ってもそのメモを失ってしまいますし、酷い時にはメモと共に電話を受けた記憶も失くします。
またメールを見落としたり、期日を確認し忘れたり、書き間違いをしたり、印鑑を押し忘れたり、FAXを送り間違えた事に気付いて再送信したものの違う宛先に送っていたり…。
以上5つのADHDの性質を紹介しましたが、こういう事が続くとどうなるか。周りから「あの人は仕事が出来ない」と言われます。かといって言動がおかしい訳ではないので、「頭のでき」ではなく「内面の問題」とされ「不真面目」「やる気が無い」という言葉が浴びせられます。「うっかりミスだから気を付ければ出来るだろう」「また同じ間違いをしているけど確認すれば良いだけだ」というごもっともなお言葉も頂きます。
「やる気はあるけど集中が出来ない」「気を付けても間違える」という矛盾した行動をどうやって説明したらいいのか分かりませんでしたので、出来ない事でもなんとか努力をしていましたが、どうしてもイージーミスは防げません。
余りに同じ様なミスが日々繰り返される為、2年を過ぎた辺りから上司に話をする事にしました。「私は少し脳に問題が有り、出来ない事はとことん出来ないのでご理解とご協力をお願いしたいです」とお願いをしてみました。
ですが、返って来た答えは「おかしな風には見えない」「ミスが多いのはちゃんとしたら良いだけ」「僕の仕事を増やさずしっかりして」でした。
まとめ
以上のような辛い状況ですが、ADHDだからといって努力をせず、すぐに周りに理解を求めるのは違うと思います。
忘れない様にメモをこまめに取ったり、付箋に書いてあちこちに貼り、終われば捨てたり、スケジュールと工程を1時間配分にして書き出してみたり、自分なりに最大限の努力をして、それでも出来ない事を「自信が無いので確認して欲しい」と助けを求めるべきだと思います。普通に出来る人には「なんでそんな事が」と思うようなそんな事を人に頼むので、こんな助けを求められたら、頼まれた人は応えてあげて欲しいと思います。
[参考記事]
「ADHDが判明した経緯と会社へのカミングアウト」
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