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発達障害者支援センターと学校の連携の結果、通級へ行くことに

 

発達障害者支援センターが学校と連携をして、通級に入ることになった事例です。

………..

 「うちの子ちょっと、みんなと一緒にはやっていけないかも……」小学校入学時に、そのように思い悩む発達障害児を抱える養育者は多いのではないでしょうか。

「みんなに迷惑をかけることを考えたら支援級へ進学すべきなのでは……」
「だけど学習遅延が見られない限りは普通級に進学すべきでは……」
「うちの子はちょっと遅れているだけでいつかきっと追いつくはず……」

 私はそのように色んな考えを巡らせた末で、娘を普通学級へと進学させました。

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少しずつ見えてくる定型発達児との差異

 初めはちょっとしたすれ違いでした。娘は、「お友達と登校するのが嫌だ」と言い始めたのです。というのも、毎日ちょっとしたことで議論を繰り返すのだと。小学校低学年といえば、なかなか譲り合うことができずに互いに正論をぶつけあう時期でもあります。見守ることが必要なケースも多くありますが、毎日続くとなるとお友達も本人も疲弊しきってしまいます。

 とうとう親同士が仲介する状態にまで発展し、その頃から娘は友達と時間をずらして登下校するようになりました。必然的に登校しぶりも増え、欠席することが多くなっていきました。

そして通級支援へ

 疲弊しきって誰とも交流することができなくなっていた娘を見兼ねて、発達障害者支援センターに再度相談をしたのは、小学校3年生になる年でした。その前は就学時検診で別事業所に相談をしたきり、およそ3年ぶりの訪問となりました。

 その間、育て辛さに悩みながらも医療支援は受けておらず、診断名も付けていなかったのですが、面談のみですぐに「通級でソーシャルスキルを訓練しましょう」ということになり、たいへん驚きました。

 通級と支援級の違いも知らなかったし、「友達と違うことをすることでいじめられるのではないか」という不安もありました。「一度通ってしまったら、もう”普通”の生活に戻れないだろうな……」などと思っていたことも覚えています。しかし「支援が必要な子に支援を受けさせないことの方が問題」と言われ、通級の必要性に気づきました。

 通常、ソーシャルスキルは、幼年期から療育にて、絵カードなど本人のイメージしやすい媒体を用いて繰り返しトレーニングすることで、早期に身に付けることができるとされています。娘は幼少期には療育をしていなかったので、ソーシャルスキルが見に付かないまま、小学生になってしまいました。

 娘は通級に通う以前から「どうしたら友達と仲良く過ごせるのか」という”知識”は理解しながらも、実践に結び付けることができず、お友達と衝突を繰り返していました。兄弟と過ごす時間も激昂を繰り返していた彼女が、少しずつ自分の気持ちを穏やかに伝えることができるようになったのは、訓練を受け始めてから数年後の小学校高学年の頃でした。

 「もっと幼い頃から療育を受けていることができていれば、娘が交友に自信喪失する前に交流スキルを身に付けられていたかもしれない」と後になって後悔しました。

学校との懸け橋になる発達障害者支援センター

 このように「お友達と一緒に過ごせない」ということは、発達障害に関らず誰にでも起こることであると思います。それを学校側にそのまま伝えて良いものかも悩みました。娘の努力不足なんじゃないか、私のしつけが悪いからなんじゃないかと思っていました。

 しかし「過剰な努力をしなければ社会生活を送れない」段階で、だいぶ支援が必要な状態であると思うのです。そういった状態を専門的な観点から第三者的に「このように配慮してください」と指導してくれたのが、発達障害者支援センターでした。通級と普通級、そして家庭の3つの立場から見えてくる娘の実態を発達障害者支援センターが統括してくれたことで、徐々に娘が困難を感じている部分が明らかになっていきました。

 発達障害者支援センターと学校が連携をしてくれたお陰で、学校の方も娘に配慮をしていただくことが多くなり、例えば学校行事の参加は強制的ではなくなっていきました。以降、ふとしたことでパニックを起こして泣き叫んでいた娘は、「できることをできる範囲でやれればいいんだ」という生活が続いて穏やかになり、少しずつ自分の居場所と共に自己肯定感を取り戻していきました。

最も大切なのは子どもの笑顔

 ”普通”に進学して、”普通”に勉強して、”普通”に就職して……発達障害が判明したばかりの頃は、娘にそんな期待を持ち、家庭内もだいぶ荒れていました。そもそも”普通”など存在しないのに、娘ができないことを無理にさせようとして、「何でできないの」と責めてばかりで……。私は理想ばかりを押し付けて、「どうすれば子どもが一番過ごしやすくいられるか」という観点をすっかり失念した親だったと思います。

 極論ですが、普通級で過ごせない子は、結局長く続いていくこの社会を、”普通”に過ごしていくことはできないと思うのです。通級支援を受けている点を気にするようなお友達と、いつまでも分け隔てなく過ごしていくことはできないのだと、今では思うようになりました。

 現在中学校の普通級に進学した娘は、学級に馴染めず、授業が行われない空き教室のような場所に、出席日数を確保するためだけに登校しています。やりたいことも見つからず、やりがいも見い出せず、与えられた課題をこなす意欲もなく過ごしていることがとても気になります。

 このままでは娘は、高校進学も、それ以降の社会生活も非常に困難を伴うでしょう。それでも、「〇ちゃんは〇ちゃんのままでいい」と、理解してくれる数人の友達に囲まれながら、日々を楽しそうに過ごしている彼女を見ていると、私も彼女の明日に希望を抱いていられますし、彼女と社会を繋ぐ一つの要点であろうと思っていられるのです。

 発達障害者支援センターと学校が連携してくれたお陰で通級に入ることができ、少しですが前進をすることができました。しかし、先ほども書きましたが、幼少期から療育を受けていればもう少しコミュニケーション能力が高くなっていたのではないかと考えると後悔しかありません。

[参考記事]
「発達障害の二次障害により自傷行為を繰り返す」

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