この記事は40代の女性に書いていただきました。
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私の娘は小学校3年生の時に“広汎性発達障害”と診断されました。親の私も本人も、何が苦手なのか、どんな方法なら過ごしやすいのか、日々一緒に探りながら過ごしています。“感覚過敏”もそのひとつです。娘には感覚過敏の中の触覚と聴覚に対する過敏があります。
空手着の感触がイヤ(触覚過敏)
小学校3年生の時、2学年上のお兄ちゃんに憧れて「空手やりたい!」と言い出した娘。最初の頃はお揃いの格好でニコニコ顔でした。
ところが半年以上経過した頃から、娘が空手に行くのを少しずつ嫌がるようになりました。なかなか空手着に着替えようとしないのです。空手の稽古は週1回の2時間。同じ小学生で、技術も同じぐらいのレベルです。家で型を見せてくれる時もあったので、本人も楽しんでいたはずです。
ある時、ぽつりと言いました。「あのゴワゴワの空手着が気持ち悪いんだよ。空手は好きだけど、あれだけは嫌。」と。当時の私は“感覚過敏”という言葉を知りませんでした。だから、「多少は仕方ないことじゃない?」という思いは正直あったのです。
空手を辞めようとしなかった娘の本心
しかし、試合や帯の昇級試験をいくつかやった後に、全く行かなくなってしまいました。本人の思いもあるので、じっくり待って焦らせないようにしていたのですが、娘の悶々とした様子は続いていました。そして、こちらから「辞めてもいいんだよ」と声をかけてみました。
その時の娘の言葉が忘れられません。「お兄ちゃんは習いごとが続くけど、私はいつも続かない。こんなことで辞める自分って、やっぱりダメなんだ。」と。ショックでした。周りから「習いごとが続かない子」「空手着の着心地が嫌いという理由だけで辞める子」と思われたくない気持ちがあり、どうすればいいのかわからなかったそうです。
さらに、「空手着まで用意してもらっているのに『辞める』って言ってごめん。」と話してくれました。じっくり見守っていたつもりが、実は私が本人を追いつめていたのだと反省しました。好きな空手を辞めるほど感覚過敏は娘を追いつめていたのですが、気づくのが遅れました。
私は、今までよく頑張っていたことを褒め、「ずっとわからなくてごめんね」と謝りました。そして、「どうしても嫌なことは我慢しなくてもいいよ。お母さんにはわからないこともあるから、教えてね。」と伝えました。
カラオケは好きだけど
年齢が上がるにつれて、音の過敏さ(聴覚過敏)もあることもわかってきました。
小学校高学年の頃です。家族でカラオケに行った後から「お父さんとカラオケに行くのはイヤ」と言うようになりました。私にとっては「なんで急に?」と疑問でいっぱいです。というのは、頻度は多くないですが、以前から家族で行っていたからです。
理由は“音”に原因がありました。その日は最初にお父さんが歌ったのですが、お父さんが好きな歌の高音感と大音量が混ざってしんどかったようです。娘にとっては“怖い”気持ちが一気に襲ってきたのでした。
幸いにも、カラオケ自体は嫌いにはならなかったようです。まずは娘と2人で行って音量調節をしてから歌うようにしました。娘は「あ、これならうるさくない。」とホッとした表情です。
そして、数年後。「お父さんが一緒でもいいよ。音を小さめにしてくれたら。」と笑顔で誘えるようになりました。
映画館で音に困った時の工夫
娘の聴覚過敏は映画館でも見られました。「迫力があるのはいいんだけど、音が大きすぎて怖いんだよ。」と教えてくれました。シネコンの綺麗さは好きだけど、小さめのスペースでの大音量、特に劇中での突然の爆音は恐怖だそうです。
そこで試しに、映画館で鑑賞する際に耳栓を使ってみることにしました。娘は「これならラク!」と大喜び。「音が和らぐから、これだったら落ち着いて映画が楽しめるわ。」とのこと。それからはカバンの中に耳栓を準備するようになりました。
ただ、友達同士で映画を観る時はどうしたらいいか本人なりに悩んでいました。多感な時期なので、感覚過敏に対して「変なの」と言われるのが嫌だったのでしょう。しかし、実際は「へー」「おもしろいな」という反応で終わったようで、これからは堂々と出すんだと話していました。
感じ方は人それぞれ。全ての人に合う環境は難しいけれど、“知る”ことで安心の場は広がるのではないかなと思います。
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