この記事は20代の女性に書いていただきました。
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1.感覚過敏の発見
自分の持つ感覚が異常であるかもしれないと、私がきちんと認識できたのは、本当につい最近のことでした。NHKの特集で、発達障害に付随しがちな特徴として、感覚の過敏を紹介していたために、ようやくこの症状だと思いいたったのです。
発達障害そのものに関する自覚はありましたが、まさか感覚の異常までが症状に含まれるとは、それまで考えたこともありませんでした。
2.自覚できなかった自覚症状
厳密にいえば、子供のころから自覚症状そのものはありました。いまにして思えばということになってしまいますが。
最も過敏で不自由なのは触覚で、痛みや痒みを非常に強く感じます。加えて金属質の物に触れたり、持ったりすることも苦手です。
しかしこれらの感覚は、誰もが似たようなものを感じていて、我慢しながら生きているのだと、私は思っていたのです。
3.金属への拒否反応
痛みに過敏というのはともかく、金属への拒否反応というのは、ピンと来ないかもしれません。しかし私は幼少期より金属製品が苦手で、金属的な冷たさ・硬さをとても薄気味悪く感じていたのです。
分かりやすい例でいえば、小学校の名札でしょうか。安全ピンで服へととめる名札のその、安全ピンの感触が、私にはとても不愉快でした。
ランドセルの金具だとか、金属製のドアノブだとか、金属の食器も大の苦手です。困ったことに、当時の小学校の給食では、金属の食器が利用されていたのです。
4.痛みに敏感
痛みを強く感じることも、私にとっては問題でした。ちょっとふざけて叩かれても、私にとっては激痛です。転んだりすれば大ごとですし、球技でボールが当たることにも、強い恐怖を覚えます。
困ったことに、これらは外から見ていると、ただの子どものワガママや、過剰反応にしか見えません。いえそれどころか、当の私自身ですら、自分は我慢のできない子供であると、ずっと思い込んでいたくらいです。
加えて、私は平衡感覚や反射神経にも問題があるため、スポーツが大の苦手です(運動神経が良くない発達障害者は多い)。そして苦手だからこそ、嫌がってふざけているように誤解されてしまいがちでした。
5.味覚の苦しみ
触覚についで私を苦しめ続けていたのは、味覚になります。これも後年になって気づいたことですが、私は味覚にも異常を抱えていたのです。
私は幼いころから、多くの食べ物を苦手としていました。エビ・イカ・タコといった軟体生物は、食感も相まってとても不得手です。ナス・アスパラガス・タケノコなど、野菜の中にも苦手なものが多数あります。
また原料に問題がなくても、調理や状態によって受け付けなくなる例もあります。炊いたばかりのご飯や、一部の肉料理などが、私にとっては腐った味と臭いに感じられてしまうのです。
6.隠された問題
これらの感覚過敏は、私の生活をとても苦しめ、制約の多いものにしています。しかし、ある意味で実際の負担以上に問題なのは、これらの負担が障害であると自覚できないことにありました。
私は本当に長いこと、大人になった後でもなお、これらの苦痛をただの好き嫌いや、誰もが普通に感じている、当たり前の負担と思っていたのです。
7.誰もが生きやすくあるために
感覚過敏というものは、本人はなかなか意識ができません。自分の感覚が普通と違っているかもしれないなどとは、なかなか考えることがないからです。
また周囲からも、時には当人自身にとってさえも、ただのワガママや、考えすぎだと受け止められてしまいがちです。
一概にワガママだとか勘違いだとか言って決めつけてしまわず、もしかしたらこうした障害による影響なのかもしれないと、頭に入れておいていただけたら、もう少し住みよいものになるのだろうと考えます。
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