この記事は元教員の方に書いていただきました。
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教員はクラスの中に発達障害を有している子供がいると個に応じた対応が必要になってきます。30人以上いる子供の中でどのように発達障害児に対する個別対応をしていたのか、元教員の立場から紹介をしたいと思います。
発達障害の程度を読み取る
発達障害と一言でいってもADHD、自閉症スペクトラム障害、学習障害と様々なタイプがあり、それぞれ教員からの対応の仕方も変わっていきます。さらに言うと同じ発達障害のタイプ、例えばADHDの子供でも衝動性が強いタイプ、不注意性が優位なタイプなどそれぞれ違います。
私のクラスにいた子供を例に挙げるとADHDのAくんは、授業中に教室内の扇風機が大好きでいつも見ていたり、絵を描いていたりと、不注意性が強く表れています。一方で同じADHDのBさんは指示の聞き漏らしが多く、なかなか集中して話を聞くことができないことと、授業中に立ち歩いてしまう傾向がありました。
そこで、教員側としては個別に対応をしていきます。前述の2人でいえばAくんは授業から離れて他のことをし始めてしまったときに周囲には分からないサインを決めておき、こちらを向くようにさせます。このサインをするとAくんは授業を受ける態勢に戻ることができます。
そして、Bさんの場合は机間指導(教員が自ら歩いて行って学習の指導を行うこと)の時に他の人が1回しか通らないところ、わざと通りやすいところに座席を配置しておき、2度通るようにします。発問をした後の最初と最後に通ることによって多く話しかけたり、学習の進捗状況を把握するように対応していました。
入学をしてくるときには幼稚園、小学校、中学校との連携や就学時健康診断で、障害のことに対する情報が挙がってきますので、教員はクラスを受け持つ前に参考資料として目を通して障害の程度についての把握をします。これにより、ある程度の予備知識を持って対応をすることができます。
指示は簡潔に1つのみ
教員である私が発達障害を抱えている子供がいるクラスで授業をするときに気を付けていたことは「支持の出し方」です。
発達障害を抱えている子供の多くが複数の発問を理解することが難しいという特徴があります。成人して仕事をしてからも、発達障害の人はマルチタスクが苦手と聞きます。
「最初に〇〇をして、次に××をして」と発問をすると聞き漏らし、できないことが多いです。できないだけならばよいですが、全く違うことをしてしまうことも多いです。そして、その間違いに気づいたときにどうしてよいのか分からずパニックに陥ったり、固まったりしてしまう傾向があります。
そこでこのようにならないようにするために発問は1つ、それも簡潔にすることを気を付けています。複数のことを求める場合には1つ終わってから次の発問をします。このほうが聞き漏らしや、もう1度聞かれることが減るので授業も効率よく行うことができます。
サポート体制は自治体によって
発達障害を抱えている子供をサポートしようとする取り組みは学校と自治体の協力によって行われています。その1つが支援員の派遣です。特別な支援を要する子供に対して各学校に支援をしてくれる人が派遣をされているところが多いです。
私のいた学校では全校400人程度に対して2名の先生が派遣をされています。この先生方の仕事は主に、発達障害などによって支援が必要な子供についてもらいサポートをしてくれるのが主な仕事で、授業中の姿勢や身の回りの世話など主に生活面での指導になります。教員免許を有していない人が多くいるので学習面での支援はしてもらうことができません。
それでも支援員の数は足らず、対応しきれないのが現状です。増員してほしくても自治体の予算の関係もあり実現できません。結果的に一クラスに入ってもらうことができる時間も短く、より多くの支援員に入ってもらうことができることを現場としては望んでいます。
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