この記事はADHDと診断を受けた20代の男性に書いていただきました。
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●はじめに
私は、成人してからADHDの診断を受けました。ADHDの性質は「多動性」「衝動性」「不注意性」と分類されることが多いですが、私は「不注意性」が目立っています。うつの症状があり、何度か通院したのちに、ADHDということが分かりました。二次障害で、うつ病を発症していたようです。
言われてみると、幼少期~小学生時代は、動き回って落ち着かないというよりは、マイペースで大人しい方でした。ボーっとしていて話を聞いていなかったり、忘れ物をよくしていたことを覚えています。
大人になって仕事を始めるようになってから、発達障害(ADHD)の性質が目立つようになり、日常生活に支障が出るようになりました。例えば以下のことで困っています。
●約束や用事を忘れる
友人と遊ぶ約束をしたのを忘れてしまい、ドタキャンしたことが何度もありました。スケジュール帳に書いていても、見ることを忘れてしまうのです。友人は私の障害のことを知らないので、「なんていいかげんな奴だろう」って感じていたと思います。もちろん、友達が少なくなる原因にもなり、次からは誘われません。
他にも、やならければいけないことを先延ばしにしてしまったために、そのまま忘れてしまうことも頻繁にあります。集中力がないために、どうしても「明日やればいいや」となってしまい、そのうちに忘れているパターンが多いです。
これらはADHDの人によくあるドストライクの出来事です。
●片付けができない
整理整頓がうまくできず、片づけてもすぐに部屋が散らかります。しまった場所が分からなくなってしまい、同じものを何個も買ってしまうことが頻繁にあります。
探し物が見つからず、思わぬところから出てきたりします。場所を決めているのに、無意識に違う場所へ置いてしまうのです。これが仕事でも同じで、デスクが整理されていないため、すぐに必要な資料が見つかりません。
これもADHDの不注意性の特徴です。
●音に敏感で物事に集中できない
昔からなのですが、救急車の音やバイクの音がものすごく大きく聞こえてよく耳を塞いでいました。ドアがバタンって閉まる音もびっくりして、過剰に反応してしまいます。
仕事では、キーボードを打つ音や、咳払いが不快に感じて、その場から離れたくなります。とにかく周りが気になって、集中することができません。
これらは聴覚過敏と言われていますが、発達障害の人によく表れる症状です。トイレの水が流れる音、赤ちゃんが泣いている声などが嫌いなど様々です。感覚過敏性はADHDよりも自閉症スペクトラムの現れることが多いと言われています。
●仕事を続けることができない
私の場合は、上記のような症状があるため、就職しても仕事が長続きしません。現在は、心療内科に通院しながら、就労支援の施設に通所しています。障害に応じて、いろいろと配慮をしていただけるので、集中して作業をすることができます。また、同じような障害を持っている方もいるので、お互いに励まし合っています。
就労支援の施設とは?
就労支援の施設とは、就職に関して支援を必要とする障害者へ、支援・サービスを提供する施設です。
就労支援の施設には2種類あり、私は就労継続支援A型施設を利用しています。
・就労継続支援A型施設
・就労継続支援B型施設
この中で、私が通っている就労継続支援A型施設について紹介したいと思います。就労継続支援A型施設(以下、A型施設)は、現状では一般企業で働くことが難しい場合に利用する施設で、雇用契約をして働きます。給料は出ますが、私の場合、6万円くらいです。A型施設では将来的には一般の会社に就職することを目指します。ちなみに就労継続支援B型施設は雇用契約はないのですが、お金はもらえます(1万円くらい)。B型施設はA型施設で雇用契約をできないくらいの人たちを対象にしています。
作業内容は、施設によって違いますが、私は洋服のタグ付けやサンプル品の封入等をしています。勤務時間は4時間で、お昼休憩以外に、10分休憩が2回あります。体調が悪い時は、休憩するスペースもあり、その人の障害に応じて配慮していただけます。また、普段困っていることや配慮して欲しいこと等すぐに相談できるように、生活相談員の方が常駐しています。ADHDの性質によりミスが多いですが、それを予防するためにどうしたらいいのかを教えていただいています。
今まで一度も仕事をしたことがない人や、最近まで一般の仕事をしていた人など様々な障害者が利用していますが、みんなで助け合って仕事をしています。いろいろと配慮していただけるので、なかなかここから抜け出せずにいるのですが、一日も早く一般就労できるように、日々頑張っています。
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