この記事は30代の女性に書いていただきました。
…………..
私の娘は現在6歳、中等度知的障害と自閉症スペクトラム障害を抱えています。
3歳頃の娘の様子は、落ち着きがなくじっとしていることがほとんどなく、急に笑いだしたり、両手をひらひらとさせたり、つま先立ちをして歩いていたりしていました。自閉症スペクトラム障害の特徴がこの頃から現れていました。言葉の発達は、私が「ニンジン」と言うと「にんにん」と言うくらいでしたので、かなり遅れていたと思います。
ですが、私は気楽に考えていて、「発達もそのうち追いつくだろう」と4歳まで様子を見ていました。ですが、この時期になっても状況は変わらなかったので市の保健師さんに相談しました。そしたら、発達支援センターに連絡するようにと教えていただきました。早速電話をかけました。地域担当の方が家庭訪問をしに来られ、話していくなかで発達検査をすることになりました。
検査の結果、軽度知的障害だと判明しました。「娘さんには療育が必要です。」と言われました。ちょうどかかりつけの病院に小児向けのリハビリテーション科がありましたので、ここで療育を受けさせたいとお願いしました。そして作業療法を月2回始めることになりました。
作業療法は、たくさんの遊びや行動を通して彼らの体の動きや感覚が日常的に過ごしやすくなるための訓練です。
手の細やかな動きが苦手な子も多いため、みかんをむく・お箸を使う等細やかな手先の調節を訓練していきました。
自サイトより引用
5歳の娘の様子
5歳の頃の娘の様子は私に「なにこれ?」と何度も聞いてきて、いろんなものに興味を示す傾向が見られました。通常はもっと幼い頃にこのような傾向がみられると思うのですが、発達の遅れが影響してか、だいぶ遅れてやってきました。
作業療法の進展に伴い、言語療法も月2回始まりました。言語療法ではマカトンサインという「手を使ってコミュニケーションをとる方法」を提案されました。娘のためになるのであればと、月2回のうち1回、私もマカトンサインを学ぶことになりました。
そうしていくなかで、私はマカトンサインが本当に有効なのかと悩みはじめました。マカトンサインのことを知らない人がほとんどのなかで、娘がマカトンサインを出しても何の意味か理解できる社会なのだろうかと、疑問を抱えたまま過ごしていました。
実際に、私は支援学校の見学に行った際にマカトンサインは使われていますかとたずねたところ、「ステージ1(マカトンサインの初歩)くらいで充分ですよ。」と言われていました。ステージ9(学習レベルがもっとも高い)まで学ぶ必要があるのだろうかと。そして何度も言語療法士さんに本当に有効ですかと問いかけた結果「実際問題、お母さんが言われているように有効な場所が限られているのが現実ですね。」と言われました。
それでも、娘はマカトンサインに興味を持ち始め、だんだんまねをするようになりました。その姿を見て、とりあえず今は先のことを悩まずマカトンサインを使っていこうと決めて取り組んでいました。そうするうちにある日、トイレのサインを自分からしてくれるまでになりました。
結果的にマカトンサインは有効でした。自分の意思を示す方法は言葉だけではなく、手振りでも可能なのです。言葉では表現できないところをマカトンサインで補うことで、娘の意欲にも良い影響を及ぼすと感じています。
特別学級を選択
私はその頃、娘の就学について支援学校がいいのか、地域の小学校がいいのかと悩む日々でした。一番いいのは実際に見て確かめることだと思いどちらも見学に行きました。支援学校は一人の生徒に対して手厚く見てもらえるというメリットはありますが、そのかわりに地域のお友達とは関われないこともあり、地域の小学校の特別学級を選択しました。
現在、小学校のコーディネーターさんと校長先生との話し合いも進んでいます。発達の遅れに気づいて、遅いながらも行動をとった結果、今があると思います。私も娘を通して色々なことを知る機会にもなりました。
娘にはまだまだたくさんの課題はあるけど、笑顔がとても素敵な娘ですので、ゆるやかな成長をこれからもサポートしていきます。
Leave a comment