この記事は学習障害(ディスレクシア)の息子さんを育てている母親へのインタビュー記事です。息子さんの学習障害に気づいたきっかけは授業参観だったそうです。
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私はADHDの息子を抱える母親です。息子は小学校入学後にADHDであることが発覚しました。同じような境遇にあるのがママ友Kさんです。Kさんの息子さん(以下、Rくん)は、小学校入学後に学習障害(LD)であることが分かりました。学習障害の中でも「ディスレクシア」という読字障害です。
落ち着きがない、注意力散漫といった特徴のADHD(注意欠陥・多動性障害)や読み書きなどが困難というLD(学習障害)も発達障害のひとつです。
私たちの子供は、同じ保育園に通っていました。この保育園はどちらかというと「お勉強寄り」で、漢字や英語なども積極的に取り入れていました。そんな環境の中にあっても、Rくんの学習障害は発覚することはありませんでした。誰もRくんがディスレクシアを抱えていることに気付かなかったのです。
保育園当時の様子やRくんのディスレクシア発覚までの経緯について、母親であるKさんにお話を伺いました。
―お久しぶり(※私の息子とRくんは別の小学校に通っているため、現在は頻繁な交流がない)。今日はRくんの学習障害「ディスレクシア」についてのお話を聞かせてください。よろしくお願いしますね。
「こちらこそ。ディスレクシアって認知度も低いし、普通の人から見るとなかなか理解しにくい世界だと思う。私自身もいまだにRにとっては世界がどんなふうに見えているのかがいまいち分からないから、参考になるのか分からないけど。」
―一番身近にいるお母さんでも、やっぱりピンとはこないもの?
「そりゃあねえ。多動とかこだわりとかって、ある程度は誰にでもあるし、イメージしやすいじゃん?でも、『文字は読めるけど文章は読めない。だけど、文章は目からじゃなく耳からなら理解できる』ってどんな状況よ?って全然想像できなかったもの。」
―確かに。自分たちにとっては理由もなく当たり前な事って、「どうしてできないのか」って理解の外にあるもんね。
「本当にそう。小学校に入って、Rから『ママ、プリントが読めない』って言われたとき、いったい何を言ってるのか分からなかったもん。」
―うん。だって保育園の時とか、普通に漢字交じりの絵本とか朗読してたからね。だからRくんが学習障害のディスレクシアだって言われたとき、「んなわけあるかい?」って思ったもん。「保護者参観の時とか、普通にスラスラ読んでたじゃん?」て。
「そうなんだよ。私もまったく同じこと思った。Rから言われたときも、病院で先生から言われたときも。でもね、Rは文字を読んでいたわけじゃなかったんだよ。」
―んー?つまり?
「国語の教科書も、保育園の本(※保育園では毎月、教材として絵本が2冊用意されていた。)も、最初は音から入るじゃん。先生が読んで、それを真似て子供たちも読む、みたいな。」
―確かに。いきなり子供だけに読ませることはしなかったね。
「そう。だから誰もRの学習障害に気付かなかったんだよね。」
―それってさ、Rくんは全部「耳コピ」してたってこと?
「そう。本の文章を読んでいるんじゃなくて、聞こえる音を暗記してただけだったの。」
―ある意味スゴイ能力だよね。私には無理だわ。Rくん、すごいな。
「うん。私も無理。でも、Rも『みんな自分と同じようにしてる』って思ってたみたいよ。だから、小学校に入るまでは特に疑問にも思わなかったみたい。」
―確かにね。表面上はみんなと同じにできてるから、そのプロセスまでは誰も深く考えないもんねえ。小学校に入って、何がきっかけでRくんのディスレクシアが判明したの?もしよかったら教えてもらえる?
「全然いいよ。もしかしたらRみたいな子は結構いるんじゃないかって思うのね。でも、周りからは気づかれてないだけ、みたいな子。きっと、その子たちは学校の勉強がすっごい大変だと思うんだよ。学校の勉強って、基本的に文章で成り立ってるじゃない?その文章が読めないのは致命的だよね。知能とか理解力には何の問題もないのにさ。」
―きっと「勉強ができない」って誤解されている子も多いんだろうね。実際は伝え方の問題なだけなのに。そういう子には、誰かが気が付いてあげられるといいよね。で、Rくんのディスレクシアが分かったきっかけなんだけど……
「んーとね。きっかけは算数だったのね。授業中とか宿題とかで、自分一人で問題を解かなくちゃいけない時があるじゃない。それで分かった。単なる計算問題はスラスラ解けるんだけど、文章題になると、途端に時間がかかるのね。でも、小学校に入りたての子にとっては、文章題って概念が理解しにくいのかなって最初は思ってたんだよ。だから、家でも根気強く宿題に付き合っていたわけ。」
―すっごく大変だったでしょ。
「本当だよ~。もう、リアルに何時間コースだからね。でもさ、本人はどうやら頑張ってはいるみたいだから、こっちもひたすら付き合うのみだよね。」
―おつかれさま。なんか他人事とは思えないや……(※私の息子はADHDであるため、集中力が続かずに何をするにも、とにかく時間がかかった。)
「でさあ、授業参観に行ってびっくりしたわけよ。同じような文章題を、教室ではすんなり解いてるわけ。あの時の衝撃は忘れられないね。『ええっ‼なんで家ではできないのに教室ではできるの??』って。」
―それってさ、もしかして先生が……
「そう!!!! 先生が問題を声に出して読んでるんだよ。で、説明も声でするじゃない?だからRは全然普通に理解できるわけ。でも、授業参観中は私は本当に訳が分からなくて。家に帰ってよ~く本人から話を聞いたら、文章が読めないってことが分かったの。文字なら読めるんだよ。数字も。でも、それが文章になっちゃうと、何が書いているのか分からなくなっちゃうんだって。なのに、同じ文章を耳からインプットすればすんなり理解できるのね。」
―それはさ、具体的にどういうことなのかを理解するには相当大変だったでしょう?
「うん!本人の話も要領を得ないし、私もディスレクシアなんてものがこの世にあることすら知らなかったし。でも、どうやらRは普通の子とはちょっと違うところがあるのは確からしいから、とりあえず担任に学校での様子も含めて相談してみようと思ったわけ。」
―なるほどね。まずは学校ではどうなのかを知っておかないと原因もつかめないもんね。
というわけで、Kさんが息子Rくんのディスレクシアを疑ったのは「授業参観」という偶然の結果からでした。家と学校とのギャップの激しさが、「もしかしたら…学習障害?」という疑いの第一歩になったのです。
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