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学習障害(ディスレクシア)の子が見ている世界とは

 

 この記事は「息子の学習障害(ディスレクシア)に気づいたきっかけは授業参観」の続きです。

 前回の記事を要約するとKさんの息子さん(以下、Rくん)は、小学校入学後に学習障害(LD)であるディスレクシア(読字障害)であることが分かりました。Kさんが息子Rくんのディスレクシアを疑ったのは「授業参観」でのRくんの様子からです。

 家ではとても時間がかかっていた算数の文章題を、授業ではスラスラと解いていたことがきっかけです。授業参観で先生は問題を「声で」を言っていたので、耳からの情報として理解ができたのです。しかし、家では紙に書いてある情報を自分で読まなくてはいけませんので、宿題ができないという問題が生じていました。この家と学校とのギャップから、Kさんは「どこか普通と違うのでは…」という疑いを持つようになったのでした。

 では続きのインタビューです。

―Rくんから「文章がわからない」って言われたとき、すんなり理解できた?

 「全っ然!『文章がわからない』っていう言葉の意味が分からなかった。内容が難しいから理解できないのか?問題の意味がわからないから理解できないのか?とにかく『文章がわからない』がどういうことを指しているのかの理解に時間がかかったよね。」

―今までの様子を見ていると、学習障害(ディスレクシア)というのは思いもつかないよね。普通に文字が書けて、文章も外見上は読めていたわけだし(※耳で得た情報を言葉で発していたので、外見上は「読めるように見えた」ということ)。漫画とかは?

「漫画はね、雰囲気で読んでいたみたい。絵があって、コマがあるから、なんとなく内容を想像して読んでたみたいね。多分、漫画はそうやって読むんだと思っていたみたい。」

―自分と他の子の違いなんか判らないから、自分の世界が当たり前で、みんなも同じって思っちゃうもんね。で、「どうやら自分とみんなは見えてるものが違うらしい」ってことに気付いたのが小学校に入ってからなんだね。

「みたいね。耳から音として入ってくる情報は理解できる。ひらがな一文字ずつは読むことができる。『リンゴ』とか『おはよう』とか、単語も読めるし理解できる。なのに、それが文章になってしまうと、『リンゴ』も『おはよう』もわからなくなってしまう。」

―小学校1年生って、特にほとんどがひらがなじゃない。漢字の存在を知っている大人にとってはスゴイ読みにくいよね。感覚としてはそれに近いのかな?

「私も一番それが知りたいって思ったんだよ。Rにとって、この世界はどんなふうに見えているんだろう?わけのわからないものがあふれている怖いところなのか?それとも、外国に住んでいるみたいな感覚に近いのか?今の学校生活に対する不安はないのか?自分に対する恐怖感や自己否定感みたいなものはないのか?とにかく、Rの世界と、そこに生きるRの気持ちを知りたかった。」

―私がぱっと思い浮かべたのがさ、保険とかクレジットカードの約款なのね。アレって日本語で書いてあるし、単語の意味も分かるじゃない。でも、文章としてとらえると「いったい何が言いたいの?」ってなるじゃん。それとは違うのかな?

「たぶんね、私たちがイメージできる限りでは、割と近いんだと思う。でもさ、約款の文章を声で読み上げてもらったらスンナリ理解できる?」

―あ~、無理だわ。

「そうなんだよ。Rはさ、全く同じ内容でも『文字』だとダメで『音声』なら大丈夫なんだよ。『わかりやすく言い換える』必要はなく理解できるわけ。でも、文字を使って簡単な文章にしても、文章自体がダメなんだよ。単語カードみたいに、文章を区切って捉えると読むことはできるわけ。で、その言葉は理解できるけど、一文まるごとボンって出されるとダメみたいね。でも単語ごとに区切っても、最終的には最初の言葉を忘れちゃって、意味を追いきれなくなっちゃうみたいよ?」

―文節とかに区切る能力とか、言葉のまとまりをとらえる力の問題なのかな?

「それもあるみたい。今、学習障害(ディスレクシア)を改善するための療育に通っているけど、意味の区切れごとに線をひいたり、黙読の練習をしたりしてる。文字を意味のある情報として目で認識するのに時間がかかるから、きっと文章の内容を理解するまでの余力がないんだよね。だから、インプットが楽になる工夫をしたり、少しずつ処理速度を上げる訓練みたいなものをしてる。」

―そっか。Rくん頑張ってるね。嫌がらない?

「なんか、『新世界の存在に気付いた』みたいで楽しいみたいよ。壁の外には今までの常識とは全く違う世界があるらしいことには気づいたみたいね。」

―なんか、巨人漫画「進撃の巨人」みたいだな。

「うん。壁の内が当たり前だったから、逆に『壁の外はどうなの?』って知りたいみたいよ。実際問題、これから高校入試とかのテストなんかでは結構苦労すると思うんだよ。Rがどこまで文章に対する理解力が伸びるのかは、今は未知数だけど、きっと将来カベにぶち当たるときがくるよね。その時にどんな支えになってあげられるのかなって模索中。だから、とにかく今はRの世界とかRの気持ちをもっと知りたいんだよね。」

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まとめ

 Kさんは、学習障害(ディスレクシア)であるRくんを心配したり将来に不安を持ったりするだけではなく、Rくんを取り巻く世界を知りたいと強く思っています。自分には全く想像できない未知の世界に生きるわが子を、どのように支えたらいいのか、どうやったら気持ちに寄り添ったケアができるのか。

 Rくんの世界を知り、その答えを見つけるため、Kさんは沢山の勉強をしています。「知識としてはあっても、まだ実感としてはピンとこないんだよね~。」と、ちょっと悔しそうに笑うKさんは、とっても強くてしなやかさを持った母親です。

[参考記事]
「ADHD(注意欠陥・多動性障害)とLD(学習障害)の特徴について」

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