皆さんは「発達障害による二次障害」と聞いて、どのような状態を思い浮かべるでしょうか?
二次障害とは、発達障害をもつ子ども(または大人)が周りからその特性を理解されずに責められたりすることであらたな障害を発症してしまうことをいいます。新たな障害が加わることで「二次」という言葉が付いているのです。
二次障害の症状としては、うつ病、不安障害、強迫性障害、または暴力などの反社会的な行動などがあります。発達障害の性質の上に、これらの症状が現れてくるわけですので、本人は二重に苦しみます。
ここでは、発達障害による二次障害の原因と主な症状について説明したいと思います。
■二次障害となる原因
発達障害による二次障害を発症してしまう原因は、いくつか考えられます。
ひとつには、他人から発達障害の特性を理解してもらえず、適正な対処をしてもらえなかったことで、ストレスが大きくなり、二次障害が発症してしまうというケースです。
比較的軽度な発達障害の子供の場合、その性質が現れていても「成長の過程でよくあること」と誤認されてしまうことがあります。ちょっと人よりも落ち着きがない、人見知りなだけだと思われ、それが発達障害であると分からずに放置してしまうと、自分自身も「なぜみんなと同じようにできないのか?」と悩み苦しんでしまうことがあります。本来であれば幼少期から療育という訓練を受けることである程度、適応することは可能になりますが、放置されてしまうとその機会が奪われてしまうのです。
その他の原因としては、本人が無理をして周りと合わせていたために発達障害が見過ごされてしまい、耐えられなくなって二次障害を発症するというケースもあります。
例えば学習障害(LD)がある場合、学習の理解速度が遅いだけと捉えてしまうこともありますし、勉強をしていないからだと誤解されてしまうこともあります。そのような場合、本人も一生懸命努力しているつもりなのに勉強が分からないので、とても苦しい思いをします。
以上のように発達障害の性質を周りから理解されず、馬鹿にされたり怒られたりすることが続くと、二次障害を発症してしまうことがあります。
■二次障害の主な症状とは
発達障害による主な二次障害の症状としては
・不安障害(パニック障害など)
・気分障害(うつ病や躁とうつの両方など)
・強迫性障害
・反抗挑戦性障害
・自傷行為
などがあげられます。
発達障害をもつ子どもは、何度挑戦してもできないことがあると「また失敗したらどうしよう」と考えてしまい、強い不安感を抱いてしまいがちです。その強い不安感から、汗が止まらなくなったり、頭痛や吐き気をもよおす場合があり、これがパニック障害です。
また、失敗を繰り返すうちに「自分はダメな人間なんだ」と自公肯定感が低くなってしまい、気分が落ち込んだり、イライラが募ってしまうこともあります。自傷行為はこの延長線上に起こる行為です。
強迫性障害は、どんなに手を洗ったとしても汚れていると思って洗い続けたり、持ち物やスケジュールを何度確認しても安心できず繰り返すなどの特徴があります。
以上は自分自身に向けてしまう症状ですが、反対にこのもどかしさを他人に向けてしまうのが反抗挑戦性障害です。自己肯定感が下がっている状態で、人からどのような手を差し伸べてもらったとしても、怒りをともなった反抗や拒否をしてしまいます。ときには暴力をともなう場合もあり、周りからも敬遠される原因となってしまうことがあります。
■二次障害を防ぐためには
では、発達障害による二次障害を防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか?二次障害を防ぐためには、発達障害を持っていることが分かっている場合、本人が生きにくくなってはいないか?を注意し続けることが必要です。普段の生活の中で、不自由を感じているようなことがないか?我慢していることがないか?常に観察がいります。
ただし、学校の中までは親が見守ることができないこともあるので、先生やスクールカウンセラーなどに協力してもらい、子どもの小さな変化にも気を配ることも必要です。
また、発達障害をもっていることを知らない、または、まだ受け入れられないという親ごさんもいます。子どもに障害があることを認めるのは、正直言って勇気がいります。でも、親が一番優先して考えるべきは、自らが思う世間体よりも子どもが生きやすい環境をつくってあげることです。学校生活や日常において困難を抱えているようであればそれを取り除くことが親としてできることのひとつではないでしょうか?
発達障害による二次障害を防ぐためには、早期発見と療育が必要なのです。
[参考記事]
「発達障害の二次障害により自傷行為を繰り返す」
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