この記事は60代の女性に書いていただきました。
……..
私は今60代の女性です。最近になって発達障害と診断を受けました。きっかけは統合失調症です。発達障害があるのに長い間気付かずに二次障害として「統合失調症」を引き起こしてしまいました。その辺りの経緯をお話しします。
幼少の時期から、少し変わった子供であったことは確かです。運動機能は極端に鈍く、自転車に乗れたのは6年生になってからでした。学習のほうは、殆どの教科で最低点です。でも音楽と国語はいつも最高点をとっており、偏りが大きかったです。歩くのも遅く、2歳まできちんと歩行できなくて、親を心配させました。おねしょは、6年生になるまで続いていました。
人間関係は上手く築けず、一人遊びばかりしていました。でも、友達がいなくて寂しいとは一切思わず、苦痛とは全く感じていませんでした。むしろ、一人の世界に閉じこもって本ばかり読んでいることで精神的に安定していました。興味のあることへ集中力はすさまじいものがあって、何時間もトイレにも行かずに本を読んでいたり、ピアノに没頭して弾いていました。この「過集中」という性質は発達障害の人に多く、最近になって知りました。
子供の頃であれば以上の性質でも構いませんが、大人になるとそうも言っていられません。人間関係を築かないと仕事をはじめとして社会生活を送れないからです。
二次障害へのきっかけは
苦手である人間関係のストレスから、40代の前半に精神的に不安定になりメンタルクリニックを受診したところ即入院。病名は「統合失調症」でした。この時には発達障害による二次障害で統合失調症になったことは医師すら分かっていませんでした。今でさえ発達障害の知識が多い医師は少ないのに、当時の状況はそれ以上でしょう。ほとんどの医師が知らなかったのではと想像します。
人間関係のストレスとはどんなものであったのか。
人の話している内容は、言葉のまま受け止めてしまい、社交辞令など理解できませんでした。「また、遊びにきてね」と言われ、私の中ではもう「必ず遊びに行かなくてはならないんだ」と判断してしまい。次の日にはママ友の家に押しかけて行って、迷惑がられたり。言葉通りに受け取ってしまう性質は発達障害ではよくありことです。
また、皆が楽しそうに雑談をしていると、急に話の中に割り込んで自分の興味のある宇宙のこと等を話し出し、注意を受けたり。
仲良くしたいのに、いつの間にか浮いた存在になってしまいました。私にとっては相手の反応の意図(意味)が解らず毎日、毎日「なぜ怒っていたのだろうか」「なぜ注意を受けたのだろうか」と困惑の日々を過ごしていました。
そんな些細な出来事が重なり、相手の訳のわからない反応に、自分も戸惑い悩み、何がいけなかったのかと考えすぎているうちに、統合失調症の病気を誘発してしまいました。
学生時代は一人でいても何の問題もなかったのですが、親になると子供のためにみんなと仲良くしていなければならないと思い、無理をして自分から人に近づくようにしていました。発達障害の自分の特性を知らないで、人間関係を築こうとしても無理な話で、このことでかなりのストレスを貯めてしまったようです。その時は、まだ発達障害が基礎にあるとは思っていませんでしたが。
初めて分かった発達障害
統合失調症が20年たって寛解した60歳の時、まだ同じように人間関係や仕事で失敗することが多くなりました。主治医に相談したところ、発達検査を受けるように勧められました。そこで、凸凹のIQの結果が出て、動作性と言語性のIQの差は25あると判明しました。大人になってから初めて自分の障害を知ることとなります。
この性質を知っても既に60歳です。これから訓練でコミュケーション能力を磨くことは難しく、そこで私が取った方法は「あまり深く人間関係を作らない」です。会話でも自分から話すことはなく、頷いているだけだったり、自分から意見を言わないようにしました。話を振られたときだけ軽く話す程度です。
発達障害の性質によりどうしても自分の興味のある分野を永遠に話してしまうパターンが多いので、自分を守るためにはこういう方法しかないのです。一度統合失調症を発症しているので、考えすぎて無理をするとまた再発する危険性もあったからという理由もありますが。
知ることの大切さ
もっと早く発達障害についての知識があったら、対処法を知っていたら、人間関係の躓きでストレスを貯めて、大きな病気を誘発してしまうこともなかったのになと今になって思います。
やはり、幼少期からの訓練でコミュケーション能力を磨くことは非常に大事で、一般人の行動パターンを学習するだけでも大きな効果があります。人は一人では生きていけないので、最低ラインでもいいのでコミュケーションをする技術は身に着けさせてあげた方がいいです。私が言っているのも変ですが(笑)
Leave a comment