この記事は20代の女性に書いていただいています。アスペルガーの二次障害により鬱と摂食障害になった彼女ですが、今はストレスの解消法を見つけて順調に過ごしています。
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私が自閉症スペクトラムと診断されたのは中学3年生でした。その頃私は学校で孤立しており、不登校気味で、家族との関係も悪化していました。高校進学も危うい状況でした。その結果、私は鬱状態になり、精神科へ訪ねたのです。
精神科での診断
テストを受けたところ、「感覚が過敏であり、得意不得意の差が大きいですね。鬱病は発達障害の二次障害です。あなたには軽度のアスペルガー症候群の性質があります。」と診断されました。
さらに「学校でクラスメイトと関係が築けないのも、コミュニケーションに難があるからです。あなたと短時間ですが話していて分かりました。アスペルガー症候群の人は人間関係を作るのが難しい。もちろん、全ての人がそうであると言っているわけではなく、そういう傾向があるということです。それゆえ、ストレスが溜まり、二次障害の鬱症状を抱えてしまう人もいます」と言われました。
その日以来精神安定剤をもらい、飲んでいましたが、一向に進歩は見られなかったため、通院は中止にしました。
子供のころからの特性
知的な遅れは一切なかったため、アスペルガー症候群であると思ったことはありませんでした。勉強も運動もクラスの中間位の成績で、特に言語、美術が得意でした。
しかし、人間関係は苦手でした。極度の人見知りで友達ができにくく、冗談が理解できず、いじられやすかったです。いわゆる「空気が読めない人」と思われていました。人の顔や名前が覚えられず、指摘されることも多々あり、これも人間関係を悪くした一因です。
また、人が集まると声が重なって聞こえるため不快で、集団行動も苦手でした。これが医師から言われた聴覚過敏です。
他に、一回で沢山のことを言われるとパニックになる、想像力がなく指示がないと動けない、何度確認しても何かが抜けている等々の困難もありました。これらにより、段々と「自分は人と違うのではないか」と思い始め、ストレスになっていきました。
特徴的な性質は「集中力が高いこと」です。「過集中」と言われていますが、これはアスペルガー症候群の人に多いです。一つのことを始めると集中してしまい、他のことが見えず、止まらなくなってしまいます。その結果、絵を何日も寝ずに描き続けたり、毎日16時間以上勉強したり、一日中瞑想をしたりすることがよくありました。小学生のお子さんの場合には何かに集中しすぎてトイレに行くのを忘れしまい、漏らしてしまうこともあるそうです。
仕事での困難
学校にいるときは、上記のような問題があってもなんとかやっていましたが、仕事を始めると共に、自分には普通の仕事が向いていないことが分かってきました。
飲食店のバイトの時は、一度に覚えることが沢山ありパニックになりました。自分で考えて動けていないことを指摘されたり、お客の顔が覚えられないため、席が分からず混乱したりしました。アスペルガー症候群を始め自閉症スペクトラムの人の中には相貌失認の症状を持つ人がいます。相貌失認は「人の顔が覚えられない」という症状ですが、アメリカの俳優ブラッドピットもそうです。
また、いつ仕事を終わっていいのか、何から先にやるべきなのかが分からず、毎日家で泣いていたのを覚えています。仕事をしていくうちに要領もつかめ、ミスもなくなりましたが、仕事に対してのストレスが多すぎて対処しきれず、長く続けられませんでした。
転職をして仕事を始める時には同じことの繰り返しが起こるため、そのたびに鬱になります。ストレスで摂食障害になったこともあります。摂食障害も発達障害の二次障害です。
今とこれから、仕事について
今は通勤仕事を辞め、在宅で少しばかり稼いでいます。摂食障害も良くなってきたので、大学に入学し、現在は資格取得のために頑張っています。これからは、その資格を使い、家で仕事ができる環境づくりをしていくつもりです。就職は向いていないと思っているので、自分に合った“フリーランス”という働き方を模索しています。就職をしなくていいと思うだけで、心理的にはすごく楽です。
現代、働き方も色々ありますし、早い段階でそれを理解していれば、社会生活が上手くいきやすくなると経験上感じました。「普通に生きていけない、仕事ができない」というストレスは自己否定・自己嫌悪を招きます。二次障害による鬱も摂食障害も、アスペルガー症候群のストレスをうまく対処できなかった結果です。なので、障害を抱えたら、何よりもストレスの対処法を見つけることが大切だと思います。私の場合、それが「フリーランスで生きていく決心」ということになります。今の時代、飢え死にすることは不可能です。何をしても生きていくことは可能です。これを考えるだけで私のストレスは軽減されます。
自分の特性を理解し、ストレスを適切に処理することで、障害のハンデを感じずに生きることができるようになると思います。私も模索中ですので、偉そうなことは言えませんが。
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