この記事は療育施設の職員である20代の女性に書いていただきました。
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1.はじめに
私は療育施設である児童発達支援事業所(未就学児対象)のスタッフとして勤務しています。この療育施設に通うお子さまは発達障害の診断の有無に限らず、療育の観点から支援が必要であると認められて、通所しています。
そのような療育の現場から、発達障害を持つお子さまにどういった支援をしているのかお伝えしたいと思います。
2.発達障害をもつお子さまが受けられるサービス
発達障害を持ったお子さんが通う療育のサービスは児童福祉法に定められた「障害児通所支援」というものが主になります。
「障害児通所支援」には次の4つがあります。
①児童発達支援(障害のある未就学児が生活能力や社会性向上のために通う)
②医療型児童発達支援(上肢、下肢又は体幹の機能の障害(肢体不自由)のある児童が通う)
③放課後デイサービス(6~18歳の就学児童(※場合によって20歳まで)が生活能力や社会性向上のために通う)
④保育所等訪問支援(障害のある児童が通う保育園・幼稚園を訪問し、園での集団生活への支援を行う)
特に生活能力や社会性向上を目的とした児童発達支援と放課後デイサービスが発達障害を持つお子さまにとって大切な療育になります。
次にそのような療育現場がどういった活動をしているかお話しますね。
3.児童発達支援、放課後デイサービスってどんなところ?
同じ児童発達支援や放課後デイサービスの名前を掲げていても行なっている活動は意外と違います。
例えば、私の勤務している療育施設は1コマ40分程度の個別療育が主ですが、幼稚園のように朝から夕方までの預りタイプの療育施設もありますし、親御さまも一緒に療育に参加することでお子さまへの関わり方を身に付けていこうという療育施設もあります。
親御さまのお休みのために預りタイプの療育を利用したり、お子さまの通いやすさやスキルに合わせて個別療育タイプの療育施設を選ぶなど、親御さま自身とお子さまが継続して支援を受けやすいところに通うことが大切です。
4.ABA(応用行動分析)に基づいた個別療育
私の勤務する療育施設ではABAに基づいた個別療育を行なっています。
ABAは
先行事象(行動の前の出来事)→行動→後続事象(行動の後の出来事)
の視点から、その不適切行動の原因や意味を探り、適切な行動に代えていこうとする試みです。
これを聞いただけではなんだか難しそう、と思う人もいるかもしれませんね。少し例を出してお話します。
【A君 4歳(※これは複数のお子さまの事例を合わせた架空事例です)】
A君は自閉傾向が強く、言葉がまだ上手に出ていません。嫌なことが起こると癇癪を起こして泣き叫びます。お母さまは癇癪が起きるとなだめるためにラムネを与えます。するとA君は静かになるのです。
この時、A君の行動を分析すると
嫌なことがあった→泣き叫んだ→ラムネをもらえた
という形になっています。これでは、嫌なことがあるたびに泣き叫びますし、ラムネがない時には対処できませんね。
そこで私はA君が療育で泣き叫んだ時にA君の腕をしっかり掴んで「い・や」とゆっくり伝えて真似を促しました。最初は暴れまわっていたA君でしたが、どう暴れても逃がしてもらえないので、ぱっと私の顔を見ました。
その時にもう一度「い・や」をはっきり繰り返すと「イ・ヤ」と言えました。私はA君の好きな高い高いをしながら「嫌、上手に言えたね!A君すごい!」と誉めまくりました。何度か練習を重ねるうちにA君は癇癪を起こさず「イヤ」と言えるようになりました。
つまり、
嫌なことがあった→「イヤ」を言う→好きな高い高いをしてもらえる
に行動を切り替えさせたのです。このような以前の不適切行動よりマシな行動を代替行動と言います。ABAではこのように代替行動を取らせていくことで生活能力や社会性を育むことを目指しています。
5.ABAの限界
ABAはまだ学習していないことや、間違って学習したことへの対応としては有効ですが、発達障害を持つお子様が抱える情緒的な不安定さ、また多動性にはあまり効果がありません。お子様に適した支援を見つけていって下さいね。
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